政府は12月16日、新しい安全保障関連の3文書を閣議決定しました。「反撃能力」の保有が明記されています。また、岸田総理は記者会見を開き、防衛増税の決定プロセスについて「問題があったとは思っていない」と述べました。

■「反撃能力」の理由は?岸田総理が説明

東京・新橋で海鮮居酒屋を営む平山さん。忘年会シーズンに入り、客入りはコロナ前に近づいてきたといいます。


根室食堂 平山徳治店主
「この12月はかき入れ時で、どうにかこの調子でずっと続けばいいかなって願っています」
 
12月16日午後6時、岸田総理が会見。強調したのは、日本をとりまく安全保障環境の厳しさでした。
 
岸田総理
「分断が最も激しく現れたのがロシアによるウクライナ侵略という暴挙であり、残念ながら我が国の周辺国・地域においても核・ミサイル能力の強化、力による一方的な現状変更の試みなどの動きが一層顕著になっています」

「防衛力の抜本的強化」を掲げた総理。自衛隊の能力についてシミュレーションを行ったことを明かしました。


岸田総理
「この国を守り抜くことができるのか、極めて現実的なシミュレーションを行いました。率直に申し上げて、現状は十分ではありません。相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力となる反撃能力は今後不可欠となる能力です」

12月16日、日本の安全保障政策は大きな転換点を迎えました。政府は新しい安全保障関連の3つの文書を閣議決定し、「反撃能力の保有」を明記したのです。


これは相手のミサイル発射拠点など、相手国を直接攻撃できるようにする能力です。

■“防衛増税”に街の声「国民の気持ち無視」

防衛力強化のため、増税することも決まりました。


5年後に1兆円強を確保するとし
▼法人税は税額の4~4.5%を上乗せ(所得2400万円を下回る企業は対象外)
▼所得税は復興名目の税率1%分を実質的に転用、
▼たばこ税は1本あたり、段階的に3円程度引き上げます。

ただ、与党内の増税反対の声に配慮し、実際に増税するのは「2024年以降の適切な時期」と先送りに。

会見を聞いた居酒屋店主の平山さんは・・・

根室食堂 平山徳治店主
「新型コロナに費やしたお金は70兆近いって聞いてるんですよね、超えてるって。なんで1兆円でこんな増税までするんですかね。僕らも身の回りのことで精いっぱいな中で、やっぱり防衛費のことを優先してどうにかしていこうというわけにはいかない」

やきとん店を経営する藤嶋さんも、このタイミングの増税決定に不安を感じています。


やきとん ユカちゃん 藤嶋由香店主
「防衛費が大事なのは重々わかるんですけど、なぜ今なんだと。かき入れ時で12月張り切ってやっているなかで、消費意欲をそぐような発言が今出てきた。岸田総理って『聞く力』を大事にしているイメージだったので、国民の気持ちとか無視で決められていくのかなってすごく不安ですね」