浮き彫りになるニーズ
沖縄行政評価事務所が行った調査によると、久保田さんのような悩みを持つ男性は、決して少なくない。実際近年、加齢や病気の影響で尿漏れパッドや成人用おむつを使用する男性は増加傾向にある。
特に沖縄県内では、パッド使用の主な要因となる「前立腺がん」の罹患者数が、2001年の124人から2020年には797人と、20年弱で6倍以上にまで急増した。2017年以降、前立腺がんは県内の男性が患うがんの部位別で2位となっており、多くの人にとって極めて身近な課題となっている。
見えない「捨てる場所」の不足
こうした背景がある一方で、男性用トイレにSBを設置する明確な基準はまだない。日本トイレ協会の聞き取り調査では、吸収用具を使用する男性の約7割が「トイレにSBがなく困った経験がある」と回答している。
捨て場所がないという不安は「不便さ」を通り越し、やがて外出そのものを控えてしまいかねない。引きこもりや社会参加の制限という事態を招く要因となるおそれすらあるのだ。














