2004年6月1日、長崎県佐世保市。平和なはずの学び舎で小学6年生の女児が同級生の手によってその命を絶たれました。日本中を震撼させたこの事件の陰で、誰にもその苦しみを気づかれず、一人「笑顔」という仮面を被り続けた少年がいました。被害者の兄、当時中学3年生。

事件から21年がたった2025年11月、長崎市での講演で兄がその壮絶な胸の内を語りました。混乱する大人たちの陰で、なぜ彼は自らの心を押し殺し、笑うしかなかったのか。そして、1年後に訪れた心身の崩壊と、現在33歳となった加害女性へ向けた「普通に生きてほしい」という言葉の真意とは。

本記事は、配信時に大きな反響を呼び、2025年で最も読まれた連載「被害者のきょうだい支援」全3回を一本化した特別編集版です。事件の記憶を風化させず、いまなお癒えぬ遺族の痛みを、当時の家裁決定要旨とともに見つめ直します。

【目次】
1.突然手渡された「ヤフーニュース」
2.父の自殺を恐れ、笑顔の仮面を被った日
3.1年後の崩壊…高校の門で止まった足
4.加害女性へのメッセージと「家裁決定要旨」