原発の再稼働が進む一方で「脱炭素社会」を実現するために不可欠な「再生可能エネルギー」がいま、岐路に立たされています。

政府は23日、大規模な太陽光発電所の課題解決に向け、法規制の強化など対策パッケージを取りまとめました。

環境破壊の恐れなど、メガソーラーの開発をめぐりトラブルが相次ぐ中、27年度以降の新規事業に対する補助の廃止を含め、検討する方針が盛り込まれています。

木原稔 官房長官
「地域との共生が図られている事業は促進する。その一方で、不適切な事業に対しては厳格に対応する必要があります」

国は、現在国内の電源の2割あまりを占めている太陽光や風力といった再生可能エネルギーを2040年度に「4割から5割」とし、火力を上回る最大のエネルギーとする計画。

ところが、その再エネがいま、岐路に立たされています。

大量の太陽光パネルを設置するメガソーラー計画では、森林伐採による環境問題などが各地で指摘され、風力発電をめぐっては騒音の問題も。

記者(2021年)
「3枚の羽が風を切る音が絶え間なく聞こえ、少し怖さを感じるくらいです」

発電所から約1.2キロに住む人(2021年)
「ゴーゴーゴーゴーと。(窓を)開けたあと音がすると『嫌だな』と思い閉めてしまう」

“発電所”の建設をめぐっては、原発でも反対運動が起こってきましたが、戦後、効率的なエネルギーとして国をあげて原発を推し進めてきた事もあり、交付金など制度の面でも国が建設を後押ししてきました。

一方、再エネは民間事業の側面が強く、地元との調整なども企業が担っています。

また、海に囲まれた日本で期待されていた洋上風力発電も、費用の問題で頓挫しています。

三菱商事 中西勝也 社長(今年8月)
「(洋上風力発電の)建設費用は2倍以上の水準まで膨らんでいる。もう限界になった」

事業を受注した三菱商事などが、資材や人件費の高騰で採算が取れないとして撤退。決算でおよそ500億円の損失を計上しました。

民間の投資が中心となっていて、置き去りにされている感を否めない再生可能エネルギー。

高市早苗 総理(今月17日)
「成長戦略の肝は“危機管理投資”です」

エネルギーの問題を安全保障と結び付けて語る高市総理。環境問題へ対する本気度は未知数です。

未来の地球を笑顔にするはずの再生可能エネルギーがいま、岐路に立たされています。