「もう一度、親孝行をさせてください」
講演の最後、曽我さんは会場を見渡し、絞り出すようにこう訴えました。
「私と母が会える、そんな時間を皆様方、どうか私に与えてください。そして、もう一度親孝行をさせてください」

きょうで94歳になった母・ミヨシさん。
「本当にもう時間がありません」という言葉は、現実そのものです。
「私は、母と会う日を絶対に諦めません」
「母と抱き合えるその日まで、とにかく母には元気でいてほしい。諦めずに、絶対に佐渡に帰ってきてほしい」

寒さが厳しくなる北の地へ、その祈りは届いているでしょうか。
奪われた親子の時間を取り戻すために。曽我さんの悲痛な叫びは、私たちへ「忘れてはいけない」と強く訴えかけています。
(前編 「油の匂いが忘れられない」拉致被害者・曽我ひとみさんが語る“働き詰め”だった母・ミヨシさんの記憶と叶わぬ親孝行 から続く)














