防衛省は元陸上自衛隊の五ノ井里奈さんに対し、セクシュアル・ハラスメントを行ったとして、男性隊員5人を懲戒免職としました。そのうち3人は、他の女性隊員にもセクハラ行為を行っていたことも明らかになりました。

■陸上自衛隊員5人を懲戒免職処分 五ノ井さんへのパワハラ・性暴力で


元自衛官 五ノ井里奈さん(2022年11月取材)
「あそこの奥の所で、自衛官の方がお風呂を作ってくださって」

五ノ井里奈さんが自衛隊員を志したきっかけ。それは小学生の時に経験した東日本大震災でした。


五ノ井さん
「女性自衛官が何度も両手にバケツを持って、お湯を行ったり来たり入れてくれて、私も人の為に働きたいっていう憧れとかっこよさがありました」


しかし、その思いは入隊先の先輩らによる度重なるセクハラや性暴力によって踏みにじられました。

五ノ井さん
「私のような同じ被害者を出したくないという思いでした」

自衛隊を退官し、実名で被害を訴え続けて半年。その加害者らが処分されました。


陸上自衛隊 吉田圭秀 幕僚長(12月15日午後)
「事実関係を認定し、本日厳正に懲戒処分等を実施しました」


処分された隊員はあわせて9人。20代から40代の男性隊員5人が懲戒免職処分となりました。

五ノ井さんの上司だった中隊長はセクハラを知るきっかけがありながら、対応が不十分だったとして、停職6か月の懲戒処分になるなど、4人の男性隊員も処分を受けました


調査結果によると、2021年6月、20代、30代の隊員らがテント内で五ノ井さんに対し胸を触るなどし、そのうち1人はキスを強要。車の中で服を脱ぐよう促した別の隊員もいました。

そして2021年8月には、宿泊施設内で40代の隊員が指示を出し、3人の隊員が五ノ井さんを押し倒し、腰を押しつけるなどの行為を確認。

さらに、隊員らは他の女性隊員らにもセクハラ行為をしていたといいます。

吉田幕僚長
「これほど悲しく辛い想いをさせたということに、本当にこの組織を束ねる者として強い責任を感じています」


処分を受けて、五ノ井さんはツイッターで…

「処分の重さに関係なく、誠意を持って責任をとって頂きたいと思います」

またJNNの取材に「自衛隊を辞める前に対応して欲しかった」とコメントしました。


防衛省は、全自衛隊のハラスメントの調査で被害の申し出がおよそ1400件あったと明らかにしています。