小型無人機「ドローン」の飛行規制を強化するため、警察庁はきょう(18日)、飛行禁止エリアを重要施設周辺の1000メートル程度に拡大することなどを盛り込んだ有識者検討会の報告書をまとめました。
現行の「ドローン規制法」は、2015年に総理官邸の屋上にドローンが落下した事件を受け、議員立法として制定されたものです。この法律では、国会議事堂や官邸、原発のほか自衛隊や在日アメリカ軍の基地などを重要施設とし、レッドゾーンと指定。この敷地内だけでなく、イエローゾーンと呼ばれる重要施設の周辺およそ300メートルの上空も飛行禁止エリアに設定されています。
違反を発見した場合、警察官はジャミング(電波妨害)などによる飛行の妨害や機体の破壊が可能で、違反者には1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科されます。
この法律の制定から10年。ドローンの性能が飛躍的に向上しているなか、現行法ではテロなどの対策が不十分ではないかという懸念が指摘されていました。
警察庁は今年10月から「ドローン規制法」の改正に向けた有識者検討会を行い、農薬散布や空撮、インフラの点検などにドローンを活用するにあたっての利便性を考慮した上で、飛行禁止エリアの範囲などについて議論が行われてきました。
そして、警察庁はきょう、ドローンの対策強化などを盛り込んだ検討会の報告書をまとめ、公表しました。
報告書によりますと、当時、市販のドローンの飛行速度は時速50キロ程度でしたが、現在では時速70~80キロに達し、一部の海外製では時速150キロを超えるものもあるということです。最大積載重量は80グラム~5キロほどだったのが30キロまで増え、映像伝送の距離は200~300メートルから500メートル~10キロ程度まで拡大しました。
こうした性能向上を踏まえ、報告書では、飛行禁止エリアを対象施設周辺のおよそ1000メートルに拡大することを盛り込みました。
また、現行法では、レッドゾーンの飛行は直ちに摘発できますが、イエローゾーンでは警察官らによる飛行停止の措置命令に従わなかった場合のみ摘発対象となっています。しかし、性能向上によって離れた場所からも重要施設に対して攻撃できる可能性があるとして、イエローゾーンでの飛行も直ちに摘発できるようにすることなども盛り込まれました。
警察庁は、ドローン規制法の改正案について、次の通常国会への提出を目指すとしています。
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