今、イギリスでは中国の「巨大大使館」建設計画が進められています。香港から亡命した人たちは“国境を越えた弾圧”が強まるとして抗議の声を上げています。
記者
「タワーブリッジやロンドン塔といった観光名所のすぐ目の前に中国大使館の建設予定地があります。建設されればヨーロッパ最大級の中国大使館となる見込みです」
ロンドンの中心地で建設計画が進む中国の「メガ大使館」。この計画をめぐり、反対の声を上げるのは、香港からイギリスに移住した人々です。「メガ大使館」の建設により、“国境を越えた弾圧”が強まることを危惧しているのです。
カルメン・ラウさんも4年前、イギリスに移り住んだうちの一人。香港で民主派政党の議員として活動してきましたが、2020年、中国政府に批判的な動きを取り締まる「香港国家安全維持法」が施行されると、仲間たちが相次いで逮捕されました。
香港からイギリスに移住 カルメン・ラウさん
「身の危険を感じた上、家族にも圧力がかかり、亡命することを決意しました」
翌年の2021年当時、イギリスが香港市民に「特別ビザ」の発行を始めたタイミングで亡命しました。カルメンさんのように香港からイギリスに移住した人々は実に18万人を超えます。
ところが最近、カルメンさんの身に不可解な出来事が起きるように。これは今年3月、カルメンさんの近隣住民に届いた匿名の手紙です。
カルメンさんの近隣住民に届いた手紙
「カルメン・ラウは国家安全保障に関連する一連の犯罪の疑いで指名手配されている。この人物を中国大使館に連行できる市民に100万香港ドルの懸賞金を授与する」
カルメンさんを中国大使館に引き渡せば、莫大な懸賞金を受け取れるというのです。
記者
「手紙には“情報提供先”として香港警察の番号が書かれています。この番号に電話をかけてみますが…出ないですね」
カルメンさんは、おおやけにしていない個人情報などが記載されていたことから、中国当局の関与を疑っていますが、イギリスの中国大使館は関与を否定。文書はカルメンさんらが「捏造したものだ」と主張しました。
中国政府に批判的な人々への監視や脅迫は「越境弾圧」と呼ばれ、世界23の国と地域で報告されています。
現地メディアによると、「メガ大使館」の周辺には、機密情報を運ぶ通信ケーブルや用途不明の地下施設があり、スパイ活動や「越境弾圧」が強まるとの指摘があるものの、計画は来月にも承認されると伝えられています。
香港からイギリスに移住 カルメン・ラウさん
「中国の見えざる手が迫ってきているように感じますが、残念ながら今のイギリスは中国との関係を正常化させようとしています」
ヨーロッパで拡大する中国の影響力。亡命した人々の間にも、波紋が広がっています。
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