きっかけはことし5月。
遺骨は「鍛治山ミチ子」さんではなく、13歳で亡くなった「梶山初枝」さんではないかと遺族が名乗り出たのです。初枝さんの妹の名前は「美智子(ミチコ)」。妹の名前が入った服を着ていたため、混乱の中で間違って記載されたのではー。遺族は身元を特定するため、DNA型鑑定を求めました。

火葬された「遺骨」は鑑定が難しいとされていますが、今回は遺骨と一緒に遺髪が残っていたため、市は初めて実施を決めました。

広島市 原爆被害対策部 調査課 上本慎治 課長
「1人でも多くの身内に引き取っていただければ。遺族が判明するのが私たちの願いですので」

神奈川歯科大学 歯科法医学 大平 寛 准教授
「戦後80年たっているが、遺族はずっと思っておられる。今回は本人の毛髪が多数あるということが、やってみようというきっかけになりましたね。ひょっとしたらできる可能性がある」

そしてきょうー。
DNAの抽出に成功し、91歳となった妹の美智子さんのDNA型と照合。血縁関係が証明され、遺髪は梶山初枝さんのものと発表されました。

遺骨は、遺族が引き取るということです。

梶山初枝さんのおい 梶山修治さん(60)
「80年は長いですが、鑑定実現はうれしい。遺骨が1人でも多く、遺族のもとに帰れる状況につながればと思います」

広島市は、原爆供養塔の遺骨に関する情報が書かれた台帳の総点検を始めました。名前が分かっている812人の遺骨は、骨つぼを開けて遺髪の有無を確認する作業も進めます。

市は今後も遺族からの要望があれば、遺髪での鑑定を実施する方針です。