後発地震注意情報の発表から、まもなく1週間。
冬の避難に課題も見えてきました。
8日夜に発生した青森県東方沖地震。道内でも函館で震度5強など、各地で大きな揺れを観測。太平洋沿岸中部に一時、津波警報が発表され、住民たちは、真冬の夜に避難を余儀なくされました。

ホテルの支配人
「たまたま10名ぐらい、急いで駆けつけることができた。たまたま来れた状態だったので…」
浦河町民
「ふだん考えていたことが、何もできないことがわかった」
積雪や凍結で移動が困難になり、低体温症のリスクも高まる「冬の避難」。
課題も見えてきました。
福井秀一カメラマン
「浦河町内の高台にいます。民家の敷地内なんですが、ご覧のように多くの車両が避難をしてきています」
8日の地震で、震度5弱を観測した日高の浦河町。
一時、津波警報も出され、50センチの津波を観測しました。

浦河町在住 佐藤さん(47)
「(津波が)3メートルって予報だったので、ちょっとマズいなと思って、みんなで避難しようとなった」
浦河町に住む佐藤さん。隣の家に1人で暮らす小林さんに声をかけ、一緒に避難しました。

浦河町在住 小林さん(76)
「もう慌てて『何も持たなくてもいいから、とにかく避難しましょう』って。津波注意報でパニックになってしまって。本当に感謝のひと言しかない」
二人は佐藤さんの車で、高台の避難所の向かいましたが、そこで目にしたのは、避難する車による渋滞でした。
浦河町在住 佐藤さん(47)
「確かに渋滞しますよね。渋滞にはまって津波に巻き込まれるのは避けないと」
浦河町在住 小林さん(76)
「車の方が早いって、すぐ頭で思っちゃうから」
浦河町在住 佐藤さん(47)
「(徒歩避難は)難しいですね。冬だったら余計に…」

浦河町では、津波避難について原則、徒歩での避難を推奨していますが、改めて避難の難しさが浮き彫りとなりました。

ホテルグローバルビュー函館 小川有史 総支配人
「ここと温泉前に大きい入り口が2つあるので、客と外来の人が来てここに滞留している」

震度5強を観測した函館のホテルです。
当時、ホテルには外国人観光客を含めて200人以上が宿泊していましたが、夜勤のスタッフは3人だけ。
「津波避難ビル」に指定されているため、避難してくる地域住民60人以上の対応にも追われました。
麻原衣桜記者
「ホテルの従業員は非常階段を上ってきた人たちに、渡り廊下のスペースや空いている客室を待機場所として提供しました」
ホテルグローバルビュー函館 小川有史 総支配人
「踊り場で杖をついた外部の人もいたので、疲れてスピードダウンしたり、普通のスピードで上がれない人は、けが人と同じく補助が必要だから、『見極めて手伝えるようにしなさい』とは言っていたんですが…どうしても詰まってしまう」
また、外国人観光客への対応などもあり、スタッフが少ない夜間の避難には、宿泊客の協力も欠かせないと話します。

ホテルグローバルビュー 函館小川有史 総支配人
「もし余裕があったら少し手伝ってもらえると助かる。みんなで協力して災害を乗り切れたらなと思う」
堀啓知キャスター)
ホテルは日本人だけではないですからね。いろんな言語で伝えなくてはいけないので、英語で伝えられる国ならばまだいいですが、それが伝わらない人もいるかもしれないですもんね。
鶴岡慎也さん)
まだ23時くらいと、ぎりぎり起きている時間じゃないですか。これが午前2時、3時だったらもっとパニックになっていたかもしれない。でも、こういうようにホテルが避難場所に指定されているのなら…。
北海道は資源が多くて観光客がいらっしゃるので、そういう対応はすごく大事だと思います。
世永聖奈キャスター)
浦河町では避難する際に渋滞も発生していましたが、車での避難について専門家に聞きました。

防災に詳しい日本赤十字北海道看護大学の根本昌宏教授は、車避難について、渋滞が起こり、信号機の停止や液状化現象などで安全走行が極めて困難なため、津波避難の場合は原則、車は使わないとしたうえで、車中泊を考える際の注意点を次のように挙げています。

・長時間、足を動かさず同じ姿勢でいることで、足に血栓ができ肺の血管が詰まるエコノミー症候群になる危険性があります。こまめな運動と水分補給を心がけて下さい。
・マフラーが雪に埋まることによる一酸化炭素中毒にも注意が必要です。マフラー周辺を除雪し、寝るときはエンジンを切るようにして下さい。
・また、低体温症にならないために冬用の寝袋を準備して暖を取るようにして下さい。
堀キャスター)
車中泊も、いろんなものを備えて置かなければならないですね。
伊藤順子さん)
冬用の避難の(準備として)暖をとるなど、できているかなと思ったら正直できていないなというところが反省点として胸に刺さっています。
いち早く週末にでも、家族がどんな状況でも暖を取れるものを用意したいなと思います。
堀キャスター)
よく暖を取るときに上着のことだけ考えがちですが、足元から寒くなってくるので、靴下やオーバーズボンなどが大事です。
そして、水分をこまめにとるということはそれだけ排泄しなければいけないので、車の中に家族分の携帯トイレを。一般的に人は3~4回用を足しますので、我慢するともっと血栓ができたりエコノミー症候群になりやすくなってしまいます。
考え出したらきりがないですが、いろんなものを用意しておかなければなりません。特に冬の場合はプラスアルファで準備するものが多くなります。

後発地震注意情報は、15日の深夜0時まで続く見通しです。対象地域の皆さん、改めて備えを確認して、お過ごしください。














