原発で事故が起きた場合に「どこまでできるかが勝負」

一方で、柏崎刈羽原発6号機の設計にも携わった元技術者・後藤政志さん(76)は、「現状では事故を止めるための仕組み作りが不十分だ」と指摘します。

その上で、「(長期停止で)運転経験のない人がずっと増えている。経験と知識を持っていても、そう簡単に事故の時には対応ができないのが原発。事故が起こった時にどこまでできるかが勝負」と話します。

そして、さらに懸念がありました。

福島第一や柏崎刈羽の1号機から5号機は、『沸騰水型』と呼ばれる原子炉の中で発生させた蒸気を直接タービンに送る原子炉ですが、6号機は当時、世界初となるその“改良型”の原子炉として運転を始めました。現在設置されているのは、6・7号機を入れても国内で4基しかありません。

建設から時間が経つ古い原発である一方、比較的新しいシステムを取り入れた原発のため、後藤さんは「運転に伴う知見が十分に蓄えられていない」と話します。

後藤政志さん
「動いていないから劣化して錆びたり、それが一つ。でも逆もある。動いていないから運転経験が少ない。知見がたまっていないし、経験がたまっていないから、いろいろな劣化要因が出てきているかとか、そういった問題が出切っていないかもしれない」