防護服の“救世主”が現れた日

そんな極限状態の金子さんを救ったのは、行政でも親戚でもなく、「介護ヘルパー」でした。

ケアマネジャーが必死に探し回り、ある事業所が「夕方の時間なら行けます」と手を挙げてくれたのです。毎日1時間、防護服に身を包んだ介護ヘルパーが家に来て、母のオムツ交換や食事介助をしてくれました。

たった1時間。けれど、その存在が金子さんを“死の淵”から引き戻しました。

当時を振り返る金子裕美子さん


「私は世界から見捨てられなかった。ちゃんと支援してくれる人がいた」

その安堵感が、何よりの薬となったのです。