死者27人、1人がいまも行方不明となっている熱海土石流災害から1年5か月。12月14日から始まった行政側の責任を問う民事訴訟、遺族側の指摘と行政側の主張、反論をまとめます。
まず、熱海市の主張です。原告側の「危険性を認識していながら撤去するなどの是正措置をとらなかった」という指摘には、土地の前所有者側に再三にわたって行政指導を行ってきたが、静岡県の土採取条例の罰則が弱く、抑止力としては不十分だったため、前所有者側が従わなかったと反論。
避難指示を見送ったことについて、原告は「内閣府のガイドラインを根拠に熱海市が避難指示を出す義務があった」と指摘、市は「ガイドラインに必ずしも縛られるものではない」と主張しました。
続いて、静岡県側の主張です。原告側からの「熱海市へ措置命令を出すよう指示しなかった」という指摘には、熱海市から県への協議や相談などはなかった。市の判断で措置命令を見送っており、「自治体の自主性に配慮する」という原則からしても県の対応は妥当、と反論しました。このように原告側の主張、被告の県・熱海市側の主張は、真っ向から対立しています。
さらに、県と熱海市は法廷の場においても責任を擦り付けあっている印象が残ります。土地の所有者だけではなく、行政側の責任も問われる注目の裁判ですが、熱海市側は出廷せず、遺族側は終了後の会見でその姿勢を痛烈に批判しました。
<被害者の会 瀬下雄史会長>
「(熱海市は)誰1人として出席していない。怒りを通り越して、呆れる感じだ。熱海市の無責任な体質そのものが一番の問題ではないか」
<被害者の会 加藤博太郎弁護士>
「原告団としては、すべての被告をテーブルに乗せ、どのような責任があるのかを追及したいと思っている」
熱海市は、裁判後に「今後は、訴訟を通じて本市の意見を述べてまいりますが、引き続き、伊豆山の復旧復興に全力を尽くしてまいります」とのコメント。欠席の理由には触れませんでした。
一方、「法的責任はない」とする県側は。
<静岡県経営管理部法務課 河合隆晴課長代理兼訟務班長>
「今回訴訟に至ったというご遺族、被害者のみなさまのお気持ちは真摯に受け止めておりますので、訴訟では法的責任が争点になりますので、そこについては県に国家賠償法などに照らして、違法な点があるかというところを主張していきたいと思います」
熱海市の盛り土を巡っては、現在と前の土地所有者に損害賠償およそ58億円を求める裁判がすでに進められていて、今後は、県と熱海市を相手取った今回の訴訟とあわせて審理されることになります。
前と現在の土地所有者に加え、熱海市と県の当時の行政対応などを含めて、土石流発生の責任を法廷で追及していくことになります。
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