高市総理が台湾有事について、日本が集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」になり得る、と答弁してから、7日で1か月。

反発を強める中国政府は日本への渡航自粛を呼びかけるなど、圧力を強めています。

・北海道大学大学院(現代中国研究)城山英巳教授
「(水産物の輸入などを)突然止めることで日本側にダメージ、経済面のみならず心理的ダメージも与える」

道内観光への影響は…。

・貸し切りバス会社社長(影響あり)
「キャンセルは大体3~4本ぐらい、150万~200万いかないくらいです」

・小樽市の昆布専門店社長(影響なし)
「例年と変わらず、たくさんの方に来てもらっている。台湾、シンガポール、中国、韓国」

日中両国の緊張が続く中、じわりと進む“脱中国依存”を、もうひとホリします。

貸し切りバスは予約キャンセル「インバウンド系は大事、痛手」

・熊谷七海記者
「苫小牧にある貸切バスの会社です。こちらでも日中関係の悪化で影響を受けていると言います」

苫小牧市にある貸切バスの会社では、先月以降、中国の航空会社が日本への便を運休・減便したため、合わせて150万円以上の予約が、キャンセルになりました。

・ほくしょう運輸 安孫俊博社長
「飛行機が減便になったため(日本に)来られなくなったということで、今回キャンセルしてほしいと、こういうインバウンド系は大事な仕事の一つでもあるから、なくなることは痛手」

この会社では、過去にも中国側の急なキャンセルで損失が出たことがあり、インバウンドの受け入れを2割程度に抑えたそうです。

・ほくしょう運輸 安孫俊博社長
「国どうしがうまくいき(渡航自粛が解除されて)客が来ることになっても、誰も(受け入れの2割に抑える)態勢は変わらないでやりたい」

渡航“自粛”でも訪日は可能

道内有数の観光地・小樽市は、連日、さまざまな国の人で、にぎわっています。

イクラやホタテなどをどっさり乗せた「海鮮どんぶり」が名物のこちらの飲食店。店をのぞいてみると、中国人観光客の姿が。

・おたる蝦夷屋 中国からの観光客3人(4日)
「北海道は雪が素晴らしい、そして食べ物も新鮮でおいしい」
「(日中関係については?)ピース&ラブ」

中国政府による呼びかけは、あくまで渡航の“自粛”。以前と変わらず、日本を訪れる人も少なくないようです。

小樽エリアには韓国やタイなど多彩な国から観光客が…

また最近では、韓国やマレーシアなどほかのアジア圏からの観光客が増えているといいます。

・おたる蝦夷屋
「(以前)韓国のインフルエンサーがうちの店に来てどんぶりとビールをセットにSNS投稿してくれた拡散され、それからたくさんの韓国人が来るようになって、すごく助かっています」

街でも…。

・外国人観光客
「(どこから?)タイです」
「食べ物とパウダースノーを求めて北海道に来ました」

こちらは道内を訪れた外国人観光客の国・地域別の割合です。

コロナ禍直前の2018年度は、中国が22.8%を占めていましたが、昨年度は16.3%に減少。

先月、日中関係が悪化する前から、中国への依存度が徐々に下がっていたことが分かります。

・利尻屋みのや西本めぐみさん(4日)
「どこから?(ベトナム)」
「ウエルカム小樽!」

こちらのコンブ専門店でも、韓国やベトナム、シンガポールなどの客入りが堅調です。ただ、中国による渡航自粛の影響がこの後出てこないか、心配も。

・利尻屋みのや 簑谷和臣社長(4日)
「特に中国の人が一番多くなる時期、これから2月にかけてどんどん増える、特に春節の時は客が減る可能性がある」

旧正月・春節の前後はインバウンドの書き入れ時。ことしの1、2月も、中国で有名な映画のロケ地を中心に、観光客が大挙していました。

“オーバーツーリズム”は避けたいものの観光客が減りすぎるのも痛手です。

・利尻屋みのや簑谷和臣社長(4日)
「もし中国の観光客が減ることが分かっていれば、例えば近隣諸国の東アジアとか違う国に向けての観光キャンペーンを国が率先してやってもらえたらありがたい」

中国の航空会社で相次ぐ運休・減便

堀内大輝キャスター)
北海道エアポートによりますと、先月から来年3月までに中国の航空会社6社が、新千歳空港発着の5つの路線で運休や減便を行うということです。

成都線の新規就航の見送りも含め、3万人から4万人ほどの旅客者の減少につながる見込みです。

堀啓知キャスター)
自衛隊機に対して中国軍の戦闘機がレーダーを照射するなど圧力を強めてきていますが、反発はいつまで続くのでしょうか?

堀内大輝キャスター)
現代中国研究が専門の、北海道大学院の城山英巳教授にききました。

【城山教授の見解】
▽中国による圧力はいつまでか?
高市総理が発言を撤回しない以上、総理が退任するまで、いまの対日姿勢を継続・エスカレートさせるのではないか。

▽観光面では?
雪まつり期間や2月の春節は、今年に比べて中国からの観光客の減少は間違いないだろう。
団体旅行は、旅行会社が中国政府に忖度して減少。
一方、個人の観光客は自身の目で日本を見たことがある人も多く、政治に関係なく来てくれるだろう。

堀啓知キャスター)
中国との関係については、日々状況が変わっています。これからも注視していきます。