今年6月、約120年ぶりに刑罰の種類が見直され、懲役刑と禁固刑が廃止となり新たに拘禁刑が導入されました。刑務所での受刑者の処遇も、社会復帰への支援や再犯防止により力が入れられるようになっていて、岡山刑務所でも新たな取り組みが始まっています。
「可愛いわ」

穏やかな表情で、子犬と戯れる受刑者たち。

「私は無期懲役です」
(瀬戸大輝記者)
「罪名は?」
(受刑者)
「強盗殺人です」

岡山市北区牟佐にある岡山刑務所です。収容されているのは、刑期が10年以上の男性受刑者約400人で、半数以上は無期懲役です。割りばしやフルーツネットの梱包をしているのは高齢の受刑者たちで、日々、黙々と刑務作業に取り組んでいます。

そんな中、今年10月から月に1回、作業の合間に岡山市保健所の保護犬による新たな更生プログラムが実施されています。

「シェパードの子どもだ」
「手をかぶっとるわ。可愛いわ」

きっかけとなったのは、今年6月の新たな刑法の施行です。刑罰は、これまでの懲役刑と禁錮刑が廃止され拘禁刑に統一。受刑者それぞれの特性に応じた処遇を行い、社会復帰への支援や再犯防止により力が入れられるようになりました。

(担当刑務官)
「刑務所内の生活というのは、厳しい規則やルールの中で生活しているので、保護犬の取り組みというのは、自ら触りにいったりとか自分の意思でもいろいろ参加していけるところではあるので、そういった意味で非常に効果的と言いますか、良い取り組みになっているのではないかなと」

全国の刑務所でも同様の取り組みが進んでいて、保健所側も保護犬の訓練の一環として捉えているようです。

(岡山市保健所衛生課 丸山稔課長代理)
「保護犬、特に野犬は人と触れあったことがない。これだけの方々に囲まれて、なでてもらうということで多くの人に慣れるというところで非常に大事なことだと思っています」

数十年にわたり、塀の中でほとんど同じ生活を送ってきた受刑者たち。犬との時間を通じて気持ちにも変化が生まれているといいます。

(受刑者(43)無期懲役)
「やっぱり犬とふれあうことによって自分自身優しい気持ちになれるといいますか、その気持ちを続けていければなと思っています」

(受刑者(84)無期懲役)
「ここに来る前は自分で(犬を)飼っていたから、心の中が癒されてうれしい。馬鹿なことやったから、(普段は)できないけどね。罪の償いにはならないと思いますけど、やれることは自分でやりたいと思います」

重い罪を犯した者に癒しを与えることに否定的な声もあります。しかし、長年「何かに愛情を注ぐ」という体験をしてこなかった受刑者にとって、保護犬との時間は「他者への思いやり」を取り戻す貴重な機会になっているようです。














