同性同士の結婚を認めない民法などの規定が憲法違反だとして、同性カップルらが国に賠償を求めた裁判で、東京高裁は今の規定を「合憲」とする判決を言い渡しました。

福田理恵さんと藤井美由紀さんのカップルら8人が同性同士の結婚を認めない民法や戸籍法の規定は「婚姻の自由などを定めた憲法に違反する」として、国に賠償を求めた裁判の控訴審判決。1審では「違憲状態」と判断されていたうえ、同様の5つの高裁判決でも「違憲」と判断されていました。

 藤井美由紀さん
「明確な違憲判決を出していただいて、国を動かすような判断を出していただきたい」

ところが、きょう、東京高裁は原告側にとって意外な判決を言い渡しました。

裁判長
「憲法に違反するとまで断じられない」

1審の「違憲状態」から一転して同性婚を認めない規定を「合憲」と判断したのです。「同性の者同士が、憲法上『婚姻』の自由を保障されているとはいえない」というのが、東京高裁が「合憲」とした理由の一つです。ただ裁判長は…

裁判長
「このままの状況が続けば、憲法違反となることは避けられないが、現時点では、まずは国会内で審議が尽くされるべき」

判決を聞き、法廷で呆然としたような表情を浮かべた福田さんと藤井さん。藤井さんは涙をこらえながら、こう話しました。

藤井美由紀さん
「私たち国民として享受する幸せをもらえないんだなと思って、本当に悲しい判決だと思いました」

福田理恵さん
「あきらめずに、これからも声を上げ続けて、しっかりと社会が変わるように歩みを続けたい」 

きょうの判決によって、「違憲」と「合憲」で分かれることとなった2審の判断。原告側は上告する方針で、すでに上告しているほかの5つの裁判とあわせて、今後、最高裁が統一見解を出すものとみられます。