JR東日本はPASMOと提携し、新たなコード決済サービスをスタートさせることを発表しました。
加熱するキャッシュレス競争に、新たなうねりを巻き起こすことになるのでしょうか。

モバイルSuica・PASMO利用拡大の足かせに“2万円の壁”?

吉村恵里子キャスター:
発行枚数は1億1337万枚(3月現在)だというSuica。生活になくてはならないという方も多いのではないでしょうか。

Suicaは2001年11月、日本初の交通系ICカードとして登場。2004年3月には電子マネーサービスを開始しました。

一方でPASMOは2007年3月、首都圏の私鉄各線・バスで利用できるICカードとして誕生しました。

今では当たり前となっているスマホでの決済ですが、「交通系決済だけでは不便」という現状が、新サービスの導入につながっているということです。

モバイル決済の利用者数・発行数を比較しました。

▼PayPay:7100万人(9月時点)
▼d払い:7004万人(9月末時点)
▼モバイルSuica:約3908万枚(10月末時点)
▼モバイルPASMO:500万人超(2024年2月)

“交通系”はモバイルに関しては遅れをとっています。その利用拡大の足かせとなっているのが、「2万円の壁」ではないかと言われています。

交通系ICは、チャージの上限が2万円に設定されています。JR東日本によると、きっぷの代わりであることや、紛失や不正使用対策といった背景があるということです。

発行当初から変わっていない上限額ですが、とりまく周囲の環境はどんどん変わっていきます。

【コード決済の利用額】(経済産業省より)
▼2018年:2000億円
▼2024年:13兆5000億円

このようにコード決済利用の広がりが、SuicaとPASMOが参入する背景にあるのではないかということです。

元東京メトロ広報の鉄道ジャーナリスト・枝久保達也氏は、「鉄道中心のお金の流れ、『経済圏』を作りたい。交通系ICは『普段から使っている』という安心感があり、コード決済に乗りおくれている人を取り込みやすい」という分析をされています。

井上貴博キャスター:
各社「生活すべてでうちを使ってください」ということでしょうね。

パナソニック社外取締役 ハロルド・ジョージ・メイさん:
きっぷ代わりとして使うだけでなく、そのほかでも使ってほしいというのはわかりますよね。絶対に便利だと思います。

サービス開始は2026年の秋なのに、なぜ今発表するのかが、私は少し不思議です。

マーケティング的にいうと、競合相手に1年間も準備期間を与えてしまいますし、1年後にはサービス開始のことを忘れているかもしれません。

来月や再来月の導入であれば宣伝にもなりますが、1年後となると「そういえば、なんかあったな」というくらいになってしまいます。

井上キャスター:
早めに発表することで、株主への説明ということになるのでしょうか。

ハロルド・ジョージ・メイさん:
それはあるかもしれません。

出水麻衣キャスター:
リリースの際には、各社がきっといいキャンペーンを実施するでしょうから、我々としては一度そこで見比べることができるという楽しみがありますね。