■“防衛増税”に大臣ら反発 岸田政権への影響は?

国山ハセンキャスター:
防衛費増額の財源に増税が検討されているということについて、政府与党内も揺れています。高市経済安保担当大臣は、自身のSNSで、「賃上げマインドを冷やす発言をこのタイミングで発信された総理の真意を理解できません」などと不満をあらわにしています。
また、自民党の萩生田政調会長は、岸田総理が支持した増税以外の手段として“国債の償還費(国債を払い戻す費用)の一部について活用する案を検討すべき”だと言及しました。

小川彩佳キャスター:
閣僚から異例の不満の発信があったわけですけれども、12日夜、総理公邸で全閣僚の懇談会がありまして、そこでは岸田総理と高市大臣は、時折笑顔を交えながら話し込んでいうことのようなんですが、岸田総理内心はどんな心境なんでしょう。
星浩コメンテーター:
高市大臣が公然と岸田総理の増税の方針を批判したわけですから、このままでは済まないという考えだと思います。岸田総理の周辺に聞いてみますと、高市大臣がもし受け入れない場合は、更迭も辞さない覚悟だということなので、相当強い決意だと思います。自民党の税制調査会もこの増税の方針を確認してますので、ここで仮に増税の撤回ということになれば、もうこの政権は終わりというか、もうもたないということですので、そういう点では非常に重大な局面なんですけど、全体としては非常に今回の進め方が稚拙なんですね。
■たばこ税「復興税」も浮上 金額先行の議論でいいのか

国山キャスター:
そもそもこの防衛費について政府は段階的に増やしていき、2027年度以降は毎年4兆円を確保する必要があるとしています。この4兆円のうち3兆円は歳出改革などで賄い、残る1兆円は増税で確保すると岸田総理が明言しています。
では何を増税するのかなんですが、現在法人税から7000億円~8000億円、タバコ税から2000億円強、そして復興特別所得税、これは震災復興のため所得税に上乗せする形で既に徴収されているものですが、復興財源を確保した上で2000億円程度を防衛費に充てる方向で調整を進めているということです。

小川キャスター:
復興税からもというのは驚きましたが、星さんはこの増税案をどうご覧になりますか。
星コメンテーター:
まず防衛費は、コンスタントに使うお金ですから、国債でやるっていうわけじゃなかなかいかないのは当然ですね、ただこの経済情勢で、所得税とか消費税を上げるっていうのはなかなか難しいとなると、やはり法人税しかないと。
しかしその辺を岸田総理が国民に向かってきちんと説明をする機会というのはないんですね。それがなんとなくみんなフラストレーションが溜まってるところだと思います。
一方、復興税の方は、復興に充てる税金ですから、これがもし必要がないっていうならやめるのが筋であって、このお金を振り向けるというのは、いくら何でも筋が悪いと思いますね。

小川キャスター:
国民負担となるこの増税ですが、そもそも増税以外で確保する3兆円についても、財務省のOBはこんな指摘をしています。3兆円は本来なら赤字削減に回るべきもので、赤字国債に依存するも同然だと、こうした指摘についてはどうお考えですか
星コメンテーター:
これはこの通りだと思います。今、日本の国は毎年30兆円ほどの借金を重ねてるわけですね、ですから経費節減ができるんであれば、その借金を減らすというのは当然のこと。防衛費だけを工面しようというから変なことになるわけで。今回全体として内容と予算と財源をきちんと示すということだったんですが、実際にはそういうふうになっていないわけですね。加えてその反撃能力を持つんだということもあって、安保政策の大転換なわけですから、その辺を総理がきちんと順序立てて説明をしなくちゃいけないんですけども、実際には増税の話ばかりが進んでいるということで、これはもう全体をもう1回リセットする必要が出てきてると思いますね。