漢族といきなり“親戚”に…諦めの声も

同化政策を進めるため、中国政府が新疆ウイグル自治区で行った政策のひとつに「親戚制度」があります。

「親戚制度」とは人口の9割を占める漢族をウイグル族の家庭に割り当て、まるで家族の一員のように、家で一緒に食事をしたり寝泊まりをすることで、ウイグル族を監視するとともに中華民族の一員としての意識を植え付ける政策です。

この女性は「以前、漢族が『親戚』として家に来た」と証言しました。

ウイグル族の女性
「一緒に住んで、食事も一緒にしていました。一緒に住むんです。そういうこと」

そして、諦めたようにこう話しました。

ウイグル族の女性
「解決できない問題なんてありません。今はみんなうまくいっていますから」

――ウイグル族の人は今の状況をもう受け入れたのですか?
「ええ、受け入れました」

第二次トランプ政権発足以降、初めて対面での会談を行った2人。しかし、トランプ大統領からウイグル問題など、中国の人権問題について言及はありませんでした。

専門家は、アメリカによる制裁の効果は限定的だと指摘したうえで、次のように分析しました。

法政大学 熊倉潤 教授
「アメリカがもう言ってこないということは、中国からすると、『この対立に勝利した』という気分になるだろうと。『人権問題なんてない』という中国の主張の方に勢いが出てくる。中国の主張に、アメリカの沈黙が有利な効果をもたらすのではないか」

かつて、米中対立の象徴だったウイグルの人権問題。しかし今、その問題は忘れ去られようとしています。