アメリカ発のコーヒーチェーン「スターバックス」がいま、中国で苦戦を強いられています。背景にあるのは「中国発のコーヒーブランド」との激しい値下げ競争です。

フードデリバリーの配達員がひっきりなしに訪れるこちらのお店。中国のコーヒーブランド、ラッキーカップです。

記者
「こちらのコーヒーなんですが、日本円でおよそ145円と、かなり安いです」

ほかにも1杯およそ210円のあんこラテなど、低価格のメニューが並んでいます。

2017年に1号店をオープンしたラッキーカップは安さを武器に規模を急拡大。現在、中国でおよそ9500店舗を展開しています。

中国ではラッキーカップのほか、ラッキンコーヒーやコッティコーヒーなど中国発の大手コーヒーチェーンが続々と登場。一方で苦境に陥っているのが、アメリカ発のコーヒーチェーン「スターバックスコーヒー」です。

1999年に中国進出を果たし現在、およそ8000店舗を展開していますが、近年、シェアは急落。売り上げも低迷しています。なぜ、客離れが起きているのでしょうか?

北京市民
「スターバックスの価格は下がらないからです。いまはラッキンコーヒーのようなコスパの良いコーヒーを買いたいです」
「景気が悪いですから、お金を稼ぎにくいです」
「安い選択肢が増えているなかで、普段飲むものはそんなに高くなくていい」

スターバックスのコーヒーは1杯およそ630円。中国では景気が低迷し節約志向が強まっていることもあり、スターバックスは贅沢なものになりつつあるのです。

スターバックスは一部商品の値下げを始めたほか、中国事業の株式の60%を中国の投資ファンドに売却すると発表。今後、中国企業のもとで事業の再建を目指します。

また、苦戦の背景には最近のこんな傾向も…

北京市民
「中国のブランドをよく選んでいます。素晴らしいブランドがたくさんあるので」

海外のものではなく、国産を重視する傾向が強まっているのです。

かつては「ブランド」として人々のあこがれの的だったスターバックスの苦境は、「値段重視」「国産重視」という、中国の消費者マインドの変化の象徴ともいえそうです。