漁獲枠の上限を超えてしまったため、漁の停止が続いている小型船のスルメイカ漁。水産庁は年間の漁獲枠を引き上げる方針ですが、漁業関係者との対立が浮き彫りとなっています。

“庶民の味”として楽しまれているスルメイカ。漁業関係者は困惑していました。

漁師
「収入もなくなっちゃったし、一刻も早く沖に出たいから何とかしてほしい」

近年、記録的な不漁が続いていたスルメイカ。今期は異例の豊漁となりましたが、とれすぎてしまったため、漁獲枠を大幅に超過。水産庁は今月1日、小型イカ釣り船の漁の停止命令を出しました。

豊漁なのに漁に出られない“異常事態”がつづいています。

函館市  大泉潤 市長
「地域としては死活問題。様々な手立てを講じていただき、ご対応をお願いしたい」

“イカの街”=北海道・函館市が漁獲枠の拡大などを求める要望書を提出しました。

こうした中、水産庁はきょう…

山本啓介 農林水産大臣政務官
「漁獲量をタイムリーに把握し、管理することができていなかったことが原因」

漁業団体に対して管理の強化を求める一方で、漁獲枠を増やすことを提案。

小型イカ釣り船の操業の再開に向け、“明るい便り”かと思いきや…

三沢市漁協 熊野稔 組合長
「愕然としています。なぜ現実を直視しない形での小型イカ釣り漁船がTAC(漁獲可能量)を超えて取ったからという、ペナルティ的な要素も含めた決定に悔しさでいっぱい」

憤りを露わにしました。いったい、なぜなのでしょうか?

今回増枠された結果、小型イカ釣り船は合計5757トンに。しかし、これまでの漁獲量は、その数字をすでに上回っているのです。そのため、漁の停止命令は今後も続くことになります。

三沢市漁協 熊野稔 組合長
「ただただ残念。悔しい、残念よりも悔しい。こういう決定しかできない水産庁なのかなと」

対立する水産庁と漁業関係者。専門家は…

Fish Japan 片野歩 代表
「スルメイカは資源状態がよくないのに、予防的アプローチと逆のことをやっている。獲らせてほしいって言われたら枠を増やしてしまう」

近年、記録的な不漁が続いていたスルメイカ。2000年におよそ30万トンだった漁獲量は、24年度には1.8万トンと9割以上も減少しています。

また、国は今年すでに3回枠を増やしていて、資源管理の面で問題があると指摘します。

Fish Japan 片野歩 代表
「資源状態がよくないので増枠なんかはやってはいけない。ゴールポストを動かしてはいけない」

“庶民の味”=スルメイカをどう守るのか?適切な管理のあり方が問われています。