クマの目撃情報が相次いでいる大町市で、人の日常生活圏でのハンターの発砲を許可する、「緊急銃猟」の訓練が行われました。ホテルの一室からクマを狙う緊迫した訓練に密着しました。


大町市の大町温泉郷で行われた「緊急銃猟」の訓練。ホテルの中庭に、クマが潜伏しているとの想定で行われました。

クマの目撃情報が、相次いでいる大町温泉郷。市によりますと、10月29日にホテルの近くで目撃されて以降、連日出没しています。人身被害こそ起きていないものの、危機感を募らせる中で訓練は行われました。


これまでは、人の日常生活圏での銃の使用は原則禁止されていましたが、9月からは緊急性や安全性の確保など、4つの条件を満たした場合のみ、市町村長の判断で「緊急銃猟」が可能となりました。

訓練では大町市が地元の企業と共同で、開発中のシステムを活用。


「緊急銃猟」を計画し実行に移すにあたり、システム上で必要な手順を確認しながら、4つの条件を満たしているかを、現場や職員などと共有することができます。


準備が整うと、「緊急銃猟」の実行に移ります。市の職員と猟友会のハンターが向かったのは、ホテル2階の一室。この部屋からクマに発砲する計画です。


準備が進むと、市の職員がハンターに専用の赤色の腕章をつけます。この腕章を着用しなければ発砲することはできません。


捕獲主任(無線):「こちら腕章の交付完了しましたので、これで発砲条件が整いました」

現場指揮官(無線):「現場指揮官から、安全を確認し次第、発射準備整えてください」


現場指揮官(無線):「これより緊急銃猟の発射をお願いします」

およそ1時間にわたった訓練が終了しました。

大町市農林水産課 西澤勲課長:「緊急銃猟の方法について共有できた、内容を確認し合えたことがまず一番大きな点。万が一、本日想定したような、ホテルの一角に立てこもってしまった場合には、緊急銃猟、警察による職務執行法による駆除を考えながら日々対応していくしかない」


市や猟友会によりますと、ホテル周辺の木に実るドングリなどを求めて、クマが山から下りてきているとみられます。


団体旅行の予約がキャンセルとなったホテルも出てきていて、引き続きクマへの対策が求められます。