
小嶋優キャスター:
山梨大学医学部附属病院の前の院長、武田正之さんに現在のコロナ感染状況について伺います。武田さん、現在の感染者の傾向をどう見ていらっしゃいますか。

山梨大学医学部附属病院 前院長 武田正之 医師:
全国的にはおそらく12月中旬に減少に転じるだろうと考えられていますが、山梨ではもう11月末から週毎では減少傾向になっています。ただ、前に想定したよりもちょっと速度が遅いので、収束するまで少し時間がかかりそうな感じがします。

西垣友香キャスター:
こちらは12月の感染者の年代別のグラフです。
武田さん、ここから見えるのは何でしょうか?
武田正之 医師:
これまでとあまり変わっていないのですが、若い方は感染してもリスクはあまりないので、自宅で養生すれば良いのですけど、お年寄りが一番問題で、80歳代以上ー特に90歳代で高齢化施設のクラスターが起こったりしますと、結局大学病院とか県立中央病院がそれを引き取るということになって、かなり医療逼迫が起こる可能性があります。今かなり苦労していますね。
小嶋優キャスター:
その中同時流行というのが懸念されているインフルエンザですが、現在のインフルエンザの状況というのはどうなんでしょうか?
武田正之 医師:
今のところ定点観測で全国5000ヶ所のデータが毎週出るのですが、さほど増えてないのですが、昨年一昨年ほとんど発生しないのですけど、やはりちょっと増えてます。なので1月中旬以降にぐっと増える可能性があるので注意が必要です。インフルエンザワクチンもぜひ打っていただきたいと思います。

小嶋優キャスター:
次はコロナの位置付けというのが国で現在の2類相当から5類へということで見直しの議論が始まるわけなのですが、インフルエンザと同じ5類の扱いということになりますと、主なものを抜き出してますが、入院の勧告や就業制限外出の自粛の要請というのはなくなります。そして、検査や治療にかかる費用というのは公費で負担されなくなるということです。武田さん、どのようにこちらを見ていますか。

武田正之 医師:
ずっと議論されていたのですが、やはり5類にするためには重症化率とか死亡率がインフルエンザと同等以下にならないといけない。大体今そうなってきています。それから治療手段ができるということで、今内服薬も3種類になっていますので、十分対応できる状況だとは思います。そこでやはり社会活動をなるべく正常化に戻すにはこれが必要かなという気はします。ただ、デメリットとして、患者さんにとっては自己負担が増えるわけです。高額な例えば集中治療室入る入院費とか、それも高額療養費制度もあるのですが、やはりある程度国が面倒見なきゃいけないところと、普通の保険でやるところを切り分けて徐々に段階的に下げていくとそういう形が必要かと思いますし、実は医療機関、特に大きな医療機関がコロナの患者さんを診ることで国からかなり大きな補助金を受けています。これが収入にとって良いことになってるんですけど、これがなくなってしまうと経営的な問題が出てくるので、そこを少しずつ改善していただければいいと思います。
小嶋優キャスター:
5類相当になったとしても、そういったこともやはり十分考えていかなければならないのですね。
武田正之 医師:
そういう問題があります。ただ国もお金がないのでなかなか厳しいです。
小嶋優キャスター:
最後に今後の感染状況ですが、グラフに書いていただきましたが、3パターンありますね。

武田正之 医師:
はい。このように3つ書きましたが、
一番下が一番良いパターン。ちょっとお時間がかかりますが、もうそろそろ頭打ちになってきて段々下がってくる形。
悪いパターンは真ん中で、新しい変異株のXBBとかがまた流行ってくると少し増えてゆっくりと下がってくる形。
最悪のパターンは1月中旬ぐらいからインフルエンザが流行ってくると上乗せになってぐっと増えてくる形。
という3つのパターンが予測されますが、多分一番下じゃないかと思います。
小嶋優キャスター:
新しい変異株、そしてインフルエンザというのが一つのポイントになってくるんですね。
ここまで武田さんでした。どうもありがとうございました。