庶民の味として親しまれているスルメイカがいま、豊漁なのにとれない異例の事態となっています。イカの街、北海道・函館市の市場からはスルメイカが消え、落胆の声があがっています。

「美味しい」

今が旬の新鮮なイカを使った様々な料理が楽しめる飲食店。イケスから生きたままさばく、活イカの刺身が売りですが…。

「(スルメイカは)北海道の漁獲制限の話があってから来てない。1週間くらいだよね?」

“イカの街”として知られる北海道・函館市でも深刻な事態に。函館朝市の名物・イカ釣りには毎年この時期、全国各地から多くの観光客が訪れるんですが…。

きょう、イケスの上にはシートがかけられており、『本日、イカの入荷はございません』と注意書きが。イカ釣りは先週末から休業しているといいます。

元祖活いか釣堀 小野寺透さん
「(25日、26日から)水槽にイカが一匹もいない状態になってしまった。これのために来たというお客さんが結構いる。その方たちに悲しい思いをさせてしまっている」

実はスルメイカは近年不漁で、資源回復をはかるため漁獲量が制限されていました。

しかし、今期割りあてられた漁獲量は今月15日時点で5388トンと、配分されている4900トンを半年で上回るほどの豊漁に。水産庁はあすにも、来年3月末まで漁の停止命令を出す方針です。

そんななか、さきほど飲食店に届いた6杯のイカ。

「(Q.これはなにイカ?)これはアオリイカです」

届いたのは、京都府と福井県で釣ったというアオリイカ。

大きいものではスルメイカの10倍にもなり、甘みが強く肉厚で歯ごたえのある食感が特徴。“イカの王様”とも呼ばれ、市場では高級なイカとされています。

そのため、スルメイカだと1杯丸ごと提供するところをアオリイカは大きく高級ということもあり、3分の1ほどにカットしたサイズで提供。

「濃厚だね。厚みも歯ごたえもある。日本酒によく合う」

「美味しいのは間違いない!」
「でも、一番口馴染みがあるのはスルメイカな気がする」

日本橋イカセンター スタッフ
「電話越しでも『きょうはスルメイカ入っているか』と(問い合わせがある)。イカ好きの方がメインで来るので、売り上げにも少なからず直結してくることなので、僕らも心苦しい」

イカ業界はどこも苦しい状況。

こうした状況に、函館市の大泉市長らはきょう、休漁措置に対する要望書を水産庁に提出しました。

函館市 大泉潤 市長
「地域としては死活問題でありますので、様々な手立てを講じていただき、ご対応をお願いしたい」

“イカの街”に再び活気は戻るのでしょうか。