あすに迫ったアメリカと中国の首脳会談。焦点となるのがトランプ関税の扱いです。貿易戦争に翻弄される中国の「家具の街」を取材しました。
きょう、韓国に到着したアメリカ・トランプ大統領。あすには中国の習近平国家主席との会談を控えていて、両国による関税が議題に上がる見通しです。
中国南部・広東省仏山市。家具を製造・販売する企業などおよそ3万社が集まり、「家具王国」とも呼ばれています。
巨大な家具売り場では、女性が熱心に家具を勧めてきました。商売について聞いてみると…
売場の関係者
「とても難しい。経済が悪いから」
売れ行きは振るわないといいます。
また、別の商業施設では…
記者
「こちらの施設なんですけれども、ほとんどの家具店が潰れてしまったようです。暗くて不気味ですね」
中国では、長引く不動産不況の影響で家具の売り上げが低迷。さらに、家具の最大の輸出先だったアメリカの対応が追い打ちをかけました。
トランプ政権は中国に対し、合成麻薬「フェンタニル」の流入を理由にこれまで20%の追加関税を課していましたが、さらに今月14日、洗面化粧台など一部の家具に対して25%の関税を発動したのです。
販売店の経営者
「これらはアメリカの顧客が好む商品です」
この店では輸出のおよそ4割がアメリカ向けでしたが、発注は激減しました。
販売店の経営者
「例えば、1日働いて2日休み、発注があるときだけ生産します。製品が売れないと、工場を動かすことができません。従業員の仕事や給料も保証することができなくなります」
発注がないときは工場を閉め、従業員は休ませているといいます。
市内の公園には若者の姿が…
家具工場で働く男性(30代)
「きょうはやることがありません」
公園で時間をつぶすこちらの男性はトランプ関税の影響で仕事が減り、3日間休むよう指示されました。給料は支払われない「無給休暇」だといいます。
家具工場で働く男性(30代)
「休みの間、収入はありません。あるわけないでしょう。今年の初めは月に21万円ちょっともらえたけど、仕事が少ないときは10万~13万円になりました」
今、中国では「無給休暇」を導入する企業が増えていると指摘されていますが、失業率のような統計はなく、詳しい実態はわかっていません。
関税の影響が市民の生活にも出始めるなか、あすの米中首脳会談について期待することを聞いてみると。
家具工場で働く男性(30代)
「そんなに期待することはありません。仕事さえあればそれでいいです」
こうした中、アメリカのトランプ大統領は。
アメリカ トランプ大統領
「中国への関税は引き下げられるだろう。中国が『フェンタニル』の問題解決で協力するからだ」
韓国に向かう機内でこのように発言し、首脳会談を前に、追加関税引き下げの可能性を示唆しました。一方で、家具など特定の商品への関税はどうなるのか。駆け引きが続きます。
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