自宅アパートの植木鉢で大麻草を栽培したとして、「大麻草の栽培の規制に関する法律違反」の罪に問われている男の初公判が長崎地裁で開かれました。過去にも同様の罪で有罪判決を受けた男は動機について、「病気の症状を緩和させるためだった」などと話しました。

大麻草の栽培の規制に関する法律違反の罪に問われているのは、長崎県諫早市の建設業の男(40)です。

起訴状によりますと、男は今年3月頃から9月2日までの間、諫早市の自宅アパートで、大麻の種子を濡れたキッチンペーパーに乗せて発芽させたものを植木鉢に移植し、水や肥料を与え、照明器具で光を照射するなどして大麻草7株を栽培したとされています。

24日に長崎地裁で開かれた初公判で男は「間違いありません」と起訴内容を認めました。

動機は「病気」

公判では男が20歳頃から大麻を吸い始め、5年前にも大麻草を栽培した罪で有罪判決を受けたことが明らかにされました。

男は動機について「多発性硬化症を患っており、その症状である痛みやしびれを緩和させるために使っていた」「売人から入手していたが安くないため自分で栽培するようになった」などと述べました。

多発性硬化症とは?

多発性硬化症は、脳や脊髄、視神経などの中枢神経系に炎症が起こる自己免疫疾患で、視覚障害やしびれ、筋力低下、歩行障害、排尿障害などが主な症状です。

大麻成分を使った薬が多発性硬化症の治療薬として承認されている国もありますが、日本では違法です。一方、大麻のうち精神作用のある成分を含まない「CBD製品」は合法とされています。

男は「最初はCBDを使っていたが効果がなかった」などと述べ、症状緩和のために大麻へ強く依存していたことを伺わせました。

裁判官は

裁判官は―
「病気を治したかったら、普通病院に行くのでは?」
「その時点で依存ではないのか?」
「過去の判決では2年6カ月、執行猶予3年の有罪判決だった。今度やったら執行猶予では済まないという意識が歯止めにはならなかったのか?」などなどと男に質問しました。

男は―
「病院に行っても治してもらえないとおもった」
「違法だという認識はあった」
「自分の弱さだと思う」とこたえたほか、弁護人の質問に
「もう2度と手を出しません」と大きな声でこたえました。

次回の公判は12月に行われる予定です。