客などが理不尽な要求をするカスタマーハラスメント、通称「カスハラ」の問題をめぐり、静岡県長泉町の議会で10月27日、「カスハラ防止条例」が可決されました。静岡県内の市町では初めての制定で、2026年4月1日から施行されます。

<東部総局 竹川知佳記者>
「接客の在り方が変化しつつあります。長泉町ではきょう、安心して働くための新たな条例が制定されました」

「本案は委員長の報告通り、決することに賛成または反対のボタンを押してください。確定します。賛成全員です。よって、議案第一号は委員長の報告通り可決されました」

2025年10月27日、長泉町議会で可決されたのは「カスタマーハラスメント防止条例」です。

カスタマーハラスメント通称「カスハラ」は、客が不適切な言動や過剰な要求をして企業やその従業員に対し精神的・身体的に苦痛を与える迷惑行為です。

「税金で食ってるくせに、生意気な」
「お前たちの時間を奪ってやったぜ、きょうは残業だな」
※実際に長泉町役場であったカスハラの例

長泉町が2025年度に職員を対象に行った調査では、住民福祉や教育委員会など16の部門でカスハラが確認され、中には2時間以上の対応を強いられる場合もありました。ただ、条例の目的はあくまでもカスハラを絶対に許さない環境を作るためで、罰則はありません

また、町の職員だけでなく町内の店や会社などすべての事業者が対象です。

<長泉町 池田修町長>
「『あなたの行為、アウトですよ、行き過ぎですよ』というのをみんなが言いやすくなるように今回、制定しました。罰則をするような行き過ぎた行為は今の法律制度の中でも対応できると思いますので、うちの条例では理念的な条例ということでスタートしたい」

「カスハラ防止条例」は2025年4月から東京都や北海道などで施行されていますが、全国でもまだ少ない条例です。

自治体によっては加害者の氏名を公表するところもありますが、長泉町の条例はあくまでカスハラを巡る意識を変えようという「理念」を示した条例で、罰則は設けていません。

静岡県でも同様の条例がすでに可決されており、長泉町と同じく2026年4月1日から施行される予定となっています。