盛岡市浅岸にあるのはこの道50年の大ベテラン、ホームスパン作家の植田紀子さんの工房です。

こちらのジャケットは、自身の父親のために織ったものを仕立て直して、今はご主人が愛用しています。

クルミの樹皮で染められた上品な茶色の服地は、40年の時を経ても色あせることがありません。

(植田紀子さん)
「(ホームスパンは)手入れさえきちっとすれば、長持ちするそういうものですね」

天然素材での染色にこだわる植田さんの工房ではクルミだけでなく、さまざまな素材からホームスパンの色が生み出されていることを知ることができます。

(江幡記者)
「このタマネギの皮、これを煮出して染めたのがこの鮮やかな黄色。これがこれ?」

タマネギの皮から染色される意外なほどに鮮やかな黄色。

一方、こちらの鮮やかな赤を生み出しているのは?

(植田紀子さん)
「天然染料なんですけど、実は虫なんです。(虫?)コチニールという南米のサボテンに着く虫がいるんですけど、コチニールという虫なんです」

コチニールはメキシコなどに生息するカイガラムシの一種で、赤の染料として食品や化粧品などにも広く使用されています。

乾燥させた3、4ミリほどのコチニールをすり潰してみると・・・
「あ~赤がすぐ出てきました。すり潰すとほら」
植田さんは特にコチニールの赤にこだわりを持っていて、その煎じ方や、色を定着させる方法を変えることでさまざまな赤系の色を作り出してきました。

(植田紀子さん)
「いつの時期にどういう状態で染めたかを、ここに貼り出しているんですけども」
こちらは植田さんが50年の経験の中で作り出してきた「色」を一覧にした色見本帳、工房の最重要機密です。

(植田紀子さん)
「自然からいただく色を使って、いろんな形とコラボというか、組み合わせて創る楽しさというか。(もう50年になると伺いますが、それでも)そうですね。わくわくします」

染め、そして紡ぎの過程でさまざまな色や風合いを醸し出すホームスパンの奥深い世界。

この秋、自分だけの色探しを体験してみてはいかがでしょうか?














