「ふるさと納税」
故郷を応援したい、あるいはお目当ての返礼品があるからと、寄付しているという方が年々増えています。その一方で、始めたいけれど、よくわからないという方もいらっしゃると思います。
改めて、ふるさと納税は、2008年にスタートしました。自分が暮らす自治体以外の市町村や県に寄付をする制度です。
メリット・魅力は3つあります。まず、2000円を超える部分について、所得税や住民税が全額控除されます。
そして、寄付金の使い道を指定できるのも魅力の一つですが、一番の魅力は、みなさん名産品など自治体からのお礼=返礼品のようです。
2023年控除を受けるためには12月末が締め切りで、まだ間に合う2022年のふるさと納税。返礼品に注目。長野県内トップの自治体にも聞きました。

南箕輪村の道の駅・大芝高原。
ここの売店で販売されているジェラートが「ふるさと納税」の返礼品としていま、人気を集めています。
(レポート)
「とても濃厚でミルクの甘さが口いっぱい広がります何個でも食べられそうです」
返礼品のジェラートは全部で4種類、すべて地元の酪農家から取り寄せた生乳を使っています。

(道の駅大芝高原味工房・名取健宏店長)
「上伊那の生乳をふんだんに使って後味がさっぱりと何個でも行けちゃうジェラートになっているので選ばれていると思う」
1万円の寄付で16個が届くもので、年間で1000個以上の注文が入る人気商品です。
年末に今年分が締め切られるため、12月から注文が殺到しているといいます。
ふるさと納税のサイト「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクの広報担当者によると2022年の返礼品にはある傾向があるそうです。

(「ふるさとチョイス」広報担当・永田理絵さん)
「物価高騰の影響もあって日用品、日常使えるものに人気が高まっています」

(道の駅大芝高原味工房・名取健宏店長)
「大みそかにかけてふるさと納税ピークを迎える1日100件を超える注文もある、(今後は)道の駅にも足を運んでもらって本場の空気を吸いながら本場の味を楽しんでほしい」

11月末時点で寄付の総額が2億円以上と、前年比で30%以上の増額を見込む南箕輪村。
村で扱う商品はなんとおよそ150種類!
豊富なラインナップの中から、特産の農産物以外にも意外なものが選ばれていました。
化粧品のセット。実は化学工業薬品メーカーが製造を手がけています。
20年以上前に化学の知見や技術を応用して開発し、2016年から返礼品として出品。
年間およそ700セットの注文があり、その数は年々、増加しているといいます。
その人気の秘密とは?

(大明化学工業コスメ販売開発室・網野良さん)
「成分がすごくシンプルな処方で余計なものが入っておらず、赤ちゃんからお年寄りまで敏感肌の方にも家族全員で使うことができる化粧品」
ほとんどの製品に香料や防腐剤を使用しておらず、老若男女問わず使うことができる化粧品。
会社では返礼品を通して会社の知名度アップのほか、町への貢献にもつなげていきたいとしています。


ふるさと納税の申込件数が3年連続で県内トップの須坂市。
人気の秘密は、新鮮なフルーツ。
特にシャインマスカットが人気で、返礼品の8割を占めています。
しかし、県内有数の産地とはいえ、さすがに今は畑にブドウの姿はなし。
でも、「ふるさと納税」のサイトを見ると・・・。
シャインマスカットや2022年本格デビューのクイーンルージュが返礼品として掲載されています。
しかしよく見ると、返礼品が送られてくるのは…。
ん?!2023年9月以降??
一体どういうことなのか、須坂市役所へ。
担当者に聞いてみました。

(須坂市政策推進課・松下峻也さん)
「ふるさと納税の寄付はいちばん12月に集まりやすいということがありまして、12月に寄付を集めるために、来年発送するブドウを返礼品として公開し、お選びいただいている、年の半分くらいが12月で」
ふるさと納税のサイト「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクの広報担当者は。
(「ふるさとチョイス」広報担当・永田理絵さん)
「寄付額が来年の住民税から控除されるのでその締め切りが12月末という自治体が多いので、平時に比べて6倍寄付が集中する時期になります」

一時はあまりの人気で寄付額に対し返礼品が追いつかず、市は協力を得られる農園などを開拓。
4年前からはこうした「先行予約」を始め、早めに返礼品を確保しています。
(須坂市政策推進課・松下峻也さん)
「多くの寄付者にお選びいただきたいので、できるだけ12月早めに募集を始めさせていただいているという状況です」

3年連続寄付件数トップは、努力と工夫のたまもの。
市役所には、返礼品へのお礼のメッセージも届くようになりました。
(須坂市政策推進課・松下峻也さん)
「とてもおいしかったとか、うれしい言葉をいただいている、市としてお送りいただいたものを喜んでいただいて、よかったと思います」

須坂市の昨年度のふるさと納税は17万9600件余り。
寄付額の総額は23億7000万円を超え、子どもが農業を体験する事業や市の道路整備などに活用されています。
自治体があの手この手で全国からファンを募るふるさと納税。自分の税金の使い道を考えるきっかけになりそうです。