ことし11月、愛知県愛西市でワクチン接種後に女性が急死した問題で、市は調査委員会の立ち上げを打ち出していますが、1か月が経ち進展はあったのでしょうか。遺族の不信感は高まっています。


(妻がワクチン接種後に死亡 飯岡英治さん)
「妻の声が聞こえないだけで、こんなに寂しいとは…。こんなに、つらいのかって…」


愛西市に住む飯岡英治さん。11月5日、妻の綾乃さん(42)が市の大規模接種会場で新型コロナワクチンを接種したあとに体調が悪化しましたが、アドレナリン注射などアナフィラキシーの対応を受けることなく死亡しました。


このことについて愛知県医師会は「ただちにアドレナリンを注射すべきで、できなかった体制に問題があった」という独自の検証結果を発表しました。


(妻がワクチン接種後に死亡 飯岡英治さん)
「妻がなんで亡くなったのかを知りたい」


市は原因究明のため医療事故調査委員会を年内にも立ち上げる方針を示していましたが、綾乃さんの死から、ちょうど1か月だった、きのう(12月5日)まで市からは具体的な説明はないままでした。そんな中…。


医療事故調査委員会の設置について説明をするため、きのう(5日)飯岡さんの自宅を訪れた市の職員4人。市長の姿はありませんでした。


(愛西市の職員)
「調査制度の目的は医療の安全を確保するために、医療事故の再発防止を行うことであり、責任追及を目的としたものではありません」


市はたんたんと説明を進めますが、検証委員をいつまでに選定するのかなど、具体的な計画は何も決まっていませんでした。


(飯岡英治さん):「結局、何も決まっていないけど枠組みだけ立ち上げますと言いに来たの?」
(市の職員):「そうです、今回は仕組みの説明と概要の説明。愛西市で調査委員会を設置して検証させていただくという話。検証にあたって、これから委員の人選、委員の方が決まったら内容について検証される」
(飯岡英治さん):「『人選はいつまでに決める』、それを言ってください」


スケジュールを迅速に決めることを求めました。さらに飯岡さんが不信感を持っていることがあります。


(愛知県医師会 野田正治副会長:先月17日)
「死後、画像診断は承諾された。そのあと解剖の話をしたが、それについては、お答えにならなかった。ぼうぜんとしていて、これ以上は話を進められなかったとカルテに記載されている」


それは解剖をしなかったことについての説明。愛知県医師会は最終的に解剖については確認できていないとしていますが、飯岡さんはそもそも解剖をするかどうか聞かれてもいないと主張しています。


(妻がワクチン接種後に死亡 飯岡英治さん)
「愛知県医師会の発表では、僕に(解剖について)言ったけど、あまりにショックを受けていて、それ以上進められなかった。それはカルテに書いてあると言っていた。だけど僕は聞いていない」


いまだ不信感が残る医師会や市の対応。


(妻がワクチン接種後に死亡 飯岡英治さん)
「ちゃんとした説明が、もしかしたら聞けるんじゃないかと期待を込めて来た」


きょう(6日)行われた愛西市議会の一般質問。


(議員):「第1回の(医療事故調査)委員会は、いつごろに開催予定なのか?」
(愛西市 健康子ども部 清水栄利子部長):「ただいま委員の選出の準備をしているところ。第1回の会議については12月になんとか1回行えるように進めていきたい」


「調査委員会」の立ち上げ時期について具体的なスケジュールは示されませんでした。さらに「市長の弔問について」は。


(議員):「市の責任者として線香1本あげてほしいという思いだが、市長いかがでしょうか?」
(日永貴章市長):「私どもといたしましては、先ほども申し上げたが。まずは医療事故調査委員会を開催し、調査結果を真摯に受け止め対応する」


弔問については答えませんでした。議会を傍聴していた飯岡さんは。


(妻がワクチン接種後に死亡 飯岡英治さん)
「結局、今までと変わらず遺族への誠意は一切ないんだなと。本当なら妻のことを思い出しながらゆっくり過ごしたい。一切、市は僕に寄り添ってくれない」


このことについて市長は。


(愛西市 日永貴章市長)
「寄り添う、寄り添わないの取り方は難しいが。気持ちとしては本当に非常に残念な事案だと思っているし『なぜこんな事案が発生してしまったのか』と思っているので。そういった気持ちで臨んでいかないといけないと思っている」