物価高は企業経営も圧迫しています。今年度・上半期の「物価高による倒産」は過去最多を更新。“あきらめ倒産”まで出てきています。
仕事帰りの客でにぎわうピザ店。
客
「ここらへんだと最安値のレベル」
ところが、店は苦しんでいました。
ナポリス 赤坂一ツ木通り店 小林杏珠さん
「本来ならもう少し高めの価格設定がいいのですが」
ピザ生地は、去年より1枚あたり20円、生ハムやチーズも値上がりに。さらに来月には…
「こちらが11月からの価格改定のご案内となっています」
仕入れ先から届いた価格改定の案内。値上げ幅はピザ生地で225円、チーズに至っては250円超え。それでも今の価格を維持するため、アルバイトの人数を3人から2人に削減することで対応するといいます。
帝国データバンクによりますと、今年の4月から9月までで、物価高による倒産は488件と過去最多を更新。業種別では飲食店を含む小売り業が全体の2割以上を占めています。
飲食店の経営を圧迫する「物価高」。こんな業界にも影を落としていました。
個人経営のクリーニング店。
小林ランドリー工場 小林史明 店長
「めちゃめちゃ不安。いっぱい儲からなくてもいいので、安定して仕事がしたい」
ドライクリーニングに必要な石油系の溶剤は、この5年間でほぼ倍に。コストが上昇した分、価格に転嫁したいところですが…
小林ランドリー工場 小林史明 店長
「(客が)節約志向になった。クリーニング代を上げたいが、そうすると来店数が減る悪循環」
値上げすると客が来ないジレンマ。さらに、こんな悩みも。
小林ランドリー工場 小林史明 店長
「昔は綿100%のYシャツばかりだった。そういうのを好んで着てた人が圧倒的に減りましたね」
「服装のカジュアル化」です。リモートワークや長引く猛暑などの影響で、そもそもクリーニングが必要なスーツやワイシャツを着る人が減ったといいます。
「物価高」「節約志向」「カジュアル化」の三重苦。クリーニング業界では、今後、「あきらめ倒産」に追い込まれる企業が増える可能性があると分析されています。
小林ランドリー工場 小林史明 店長
「業界でこの20年で総売り上げ数が半分くらいになっていると思う。(同業者には)『僕の代で終わりだね』 という人がちらほら」
コストの上昇を価格に転嫁しきれずに苦しむ企業。終わりのない“我慢比べ”が続いています。
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