国内最大級の竜巻被害を受けた静岡県牧之原市では、多くの子ども連れが地域の避難所ではなく市外の実家や知人宅に身を寄せていました。静岡県内では、妊産婦や乳幼児が安心して過ごせる避難場所の整備が課題となっています。



9月12日、牧之原市に集まったのは竜巻被害を受けた親子です。生後1か月の赤ちゃんもいました。

9月、国内最大級の竜巻により、牧之原市では最大1万戸が停電し断水も発生しました。
生後4か月の子がいる母親は浜松市の実家に避難しました。
集まったほとんどの親子が牧之原市を離れ市外の実家や知人宅に身を寄せたといいます。

<牧之原市細江に住む母親>
「実際、(地域の)避難所に行こうと思ったんですよ、連れて。エアコンが付かなかったので、やっぱり下の子が泣いちゃって周りの人に迷惑をかけたらどうしようと思って。ちょっとハードルを感じてしまったので」

南海トラフ巨大地震の国の新たな被害想定では、地震から1週間で避難所で過ごす妊産婦は最大8万人にのぼると推計されました。

<牧之原市細江に住む母親>
「400グラムも増えた」「じゃあ、大丈夫」

<牧之原市細江に住む母親>
「(体重の)増え具合が心配でした。母乳だったので、測れないし、こっちが精神的にあれだと出なくなってしまうと聞いていたので」

停電や断水などの被害は母子の心身に影響を及ぼし、災害関連死につながるリスクが高く、専用の避難所の整備が求められています。

<富士市立看護専門学校 望月久以 副校長>
「こちらが看護実習室です」

静岡県内で初めて妊産婦と乳幼児専用の避難所に指定された富士市立看護専門学校です。

<富士市立看護専門学校 望月久以 副校長>
「17ベッドあるんですけれども、半分くらいを避難所用のベッドに使っていただくカーテンがありまして、区切ることもできますのでプライバシーも守られたベッドの環境ということで用意している」

災害発生から4日後を目途に設置され妊産婦と乳児など10組を受け入れる想定です。

<富士市こども家庭課 保健師牧野歩美 さん>
「被災時ですと、急いでいますので、このような哺乳瓶の準備ができずにいる方も多いと思います。1日の授乳回数によりますけれど、100個用意させていただき、本当に安心して授乳ができるように整備しているところ」

備蓄として、乳幼児の生活用品や緊急時の出産のために分娩に必要な器具も備えています。富士市は、地域の助産師と連携し備蓄品や運営マニュアルを改良しています。

<ふじの宮助産院助産師 佐藤未来 さん>
「小さいお子さんが泣かれると、やっぱりお母さん、すごく気にしてしまうので、少しでも休めるためには、個室、なるべくプライベート空間を作るのが大事。全ての市町村でそれが当たり前に用意されるっていうことが本来あるべき姿なのかなと思う」

こうした避難所の整備とともに、地域の助産院などが災害時にも頼れる居場所になることも期待されています。

<母親>
「緊急事態の時は、やっぱり相談できる相手がいるとすごく助かりますね」

<ふじの宮助産院助産師 佐藤未来 さん>
「ここで助産院開放してますよとか、お風呂入れられますよとかっていうのが分かれば、行ける範囲であればその方は行くことができるかなと思うので、その時はうちも開放したい」