内容に間違いがあったなどとして論文が撤回されるケースが2013年から2022年までの10年間に、世界で5倍以上増えていたことが文部科学省科学技術・学術政策研究所のまとめで明らかになりました。

研究所は、公開されているデータベースに載った撤回論文およそ3万2000本を分析し、「撤回論文の概況2024」としてまとめました。

研究所によりますと、2013年におよそ1600本だった撤回論文は、2018年には2500本を超え、2022年はおよそ8400本に上ったということです。

この期間にデータベースに新たに掲載された論文の総数は年間600万本前後で、ほぼ横ばいか減少傾向でした。

国・地域別に10年間の撤回論文数を見ると、最も多かったのは中国(1万7885本)で、次いで多い米国(2779本)、インド(2593本)を大きく上回る結果となりました。日本は9番目に多い606本でした。

また、研究の中心となった第一著者の国・地域別だけを見た場合でも、最も多かったのは中国(1万7019本)で、インド(1973本)、米国(1795本)と続きます。

日本は6番目で492本でしたが、1人で100本以上の撤回論文に携わった著者がいて、全体の数を押し上げていたということです。

撤回理由はさまざまで、▼第三者に委託して粗製濫造された論文(24.8%)、▼偽のピアレビュー(18.7%)、▼論文の盗用(4.5%)など悪質なものもあったということです。