国立高等専門学校機構(高専機構)は5日、記者会見を行い、国立東京工業高等専門学校(東京高専)の男子学生が5年前に自殺したことを明らかにするとともに、その経緯を調べる第三者調査委員会の設置や運営に関して不適切な対応があったとして遺族に謝罪しました。
高専機構が設置した第三者委員会の報告書によりますと、東京高専の学生会長だった電子工学科3年・野村陽向さん(当時18)は、2020年10月に自宅で自殺しました。
陽向さんはコロナ禍の2020年6月、安全上の観点から文化祭の中止を決定しましたが、男性教員から「学生会が暴走している」などの批判を受けていたということです。
その後、男性教員は同年10月、学生会執行委員会の会計処理に関して、陽向さんの不手際が疑われる事案を知り、学生監査委員に調査を指示。
報告書は、陽向さんが精神的に追い詰められたとしています。報告書はまた、男性教員が監査担当の学生らに指示して進めた監査について、「少なくとも未成年に該当する年齢の学生に対し、あまりにも教育的配慮を欠いたものであるといわざるを得ない」とし、高専側が適切な対応を取っていれば「学生の自殺という悲劇は防ぎ得た」との見解も示しています。
東京高専は報告書を踏まえ、5日の記者会見で遺族や、東京高専の学生や保護者などに「大切な学生の命を守ることができなかった」と謝罪したうえで、今後は「学生に寄り添った環境づくりを徹底する」などとしました。
一方、高専機構も記者会見で、第三者性に疑いのある委員を選任・委嘱したり、遺族に不快な思いを抱かせる内容のメールを送付したりしたことを認め、第三者委員会の設置・運営に関して不適切な対応があったとして遺族に謝罪しました。
陽向さんの父・野村正行さん(55)は、報告書の分析や提言に関して「すごく丁寧に調べていただいて8割は満足している」と述べつつ、男性教員について「今の状態で講義や学生指導をやらせていていいんでしょうか」と心境を打ち明けました。
この事案をめぐって、陽向さんの遺族は、陽向さんが男性教員のハラスメント行為によって自殺したとして東京高専と男性教員を訴えていて、現在も係争中です。
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