いつか関取に。ロシアとの戦争が続くウクライナから長崎に避難留学し、相撲に励む高校生がいる。

長崎鶴洋高校3年のエゴール・チュグンさん(17歳)。
身長187センチ、体重170キロ。
7日から始まる「長崎くんち」への出演で注目を集めている。
■長崎くんち
長崎くんちは約400年続く長崎市諏訪神社の秋の大祭で、毎年10月7・8・9日に行われる。
今回、6つの踊町(おどりちょう)が、町に伝わる演し物を奉納する。
その一つが、櫓太鼓(やぐらだいこ)と本踊(ほんおどり)を奉納する西古川町だ。
長崎は、江戸中期から明治後期にかけて九州で唯一、大相撲の本場所が開かれ、西古川町は、その興行の全てを取り仕切っていた。
そのため、長崎くんちでも350年以上にわたり、相撲にかかわる演し物を奉納し続けている。
エゴールさんは、その西古川町の一員として、相撲の勝者の舞・弓取り式を行う「弓取り方」を務める。
■関取の夢を叶えるため単身長崎へ
エゴールさんは、7歳の時に、ウクライナで相撲を始めた。
中学生の時には、ウクライナ代表として、元横綱・白鵬(現・宮城野親方)が主催する少年相撲の国際大会「白鵬杯」(東京・両国国技館)に出場したこともある。
その際、宮城野部屋を見学し、将来、関取として活躍したい!という夢がますます膨らんだという。
しかし、2022年2月、ロシアによる侵攻以来、エゴールさんの故郷・南部ミコライウ州にもミサイルが落ちるなど相撲の稽古どころではなくなってしまった。
エゴールさんは、2023年11月、相撲を続け、夢を叶えるため、家族と離れ長崎へ。長崎鶴洋高校の寮で暮らしている。
相撲部の顧問、長崎鶴洋高校の髙橋修先生によると、「来日時は全く日本語が話せず当初はとても苦労している様子だったが、とにかく相撲が誰よりも好き。時間があればしょっちゅう相撲の動画を見ている」という。
エゴールさんは、「日本に来て、同世代の強い力士がたくさんいることを知った。負けたくないという気持ちで頑張ってきた」と語る。
来日から2年弱経った今では、日常会話は問題なく、漢字も書けるほどに上達!
インタビュー中には「(くんち本番は)たくさん人が来るけん(から)、緊張します」と、長崎弁も。
相撲では、3月の全国高校選抜大会の無差別級で5位入賞を果たし、6月の長崎県高校総体では、長崎鶴洋高校の42年ぶりの団体優勝にも貢献した。