9月30日、神奈川県鎌倉市で「入湯税」の導入が議会で可決されました。ただ、温泉施設の事業者からは反発の声があがっていて、波紋を呼んでいます。

神奈川県鎌倉市にある「稲村ヶ崎温泉」。温泉地ではない鎌倉市で湧き出た唯一の天然温泉として人気の温泉施設ですが…

稲村ヶ崎温泉 吉澤治郎 館長
「怒り、悲しみ、無気力」

いま“ある問題”に怒りをあらわにしています。それは「入湯税の導入」です。

鎌倉市は9月30日、温泉施設を利用したときに課税される入湯税の導入を議会で可決。これにより、来年10月から市内の温泉利用客に150円の入湯税が課されることになります。

市は年間およそ500万円の税収を見込んでいて、公衆トイレや案内板の整備など、オーバーツーリズム対策に充てる予定だとしています。

観光客
「ごみ箱置いたりとか。ポイ捨てとかなくなりそうだなって」

ですが、この入湯税の対象になるのはわずか2つの施設。その一つ、「稲村ヶ崎温泉」の吉澤さんは猛反発しています。

稲村ヶ崎温泉 吉澤治郎 館長
「うちしかない中で、うちから徴収して、何に使うのかなって不思議でしょうがない。議会で決まってしまうのでやるせない。稲村ヶ崎温泉が大好きで毎日来る人もいますし、できれば(料金を)上げたくない」

心配するのは、客足が遠のくこと。150円の入湯税が課されても利用客の負担が増えないようにしたいといいますが、電気代や水道代の値上がりもあり、施設の経営を考えるとそれも悩ましいといいます。

対象施設が2つしかないのになぜ入湯税を導入するのか、市の担当者は…

神奈川県鎌倉市 市民税課 松井義隆 課長
「入湯税自体は元々、地方税法に規定された課税すべき税目。特定の事業者を任意に狙ってやるということでは全くなく、あくまでも税として、制度として整えている」

市はこのほか、宿泊税の導入についても現在、検討しているといいます。