青森県平内町と横浜町の漁協で養殖されているホタテの稚貝が、大量死している可能性があることが分かりました。高水温が影響していると見られ、漁協関係者からは「いまだかつてない」との落胆の声が上がっています。
平内町漁協小湊支所では、9月22日に水深15m~30mに沈められている4か所の養殖かごの稚貝の状態を調べました。
漁協によりますと、稚貝が死んだ率は水深15mで93.3%と最も大きく、水深30mと比較的被害が少ないところでも50%を超えていました。
また、土屋支所でも同様に半数ほどが死んでいました。
いずれも高水温が続いたことが原因と見られていて、水産総合研究所によりますと、被害が大きかった水深15mの水温は8月~9月にかけて26℃台で推移していて、例年9月に22℃前後となるのと比べて水温が高い状態が続いていました。
横浜町漁協でも、高水温を心配する漁業者からの要望を受け、9月22日に町内4ヶ所で稚貝の状況などの調査を行いました。ほとんどの稚貝が全滅という結果だったということです。
横浜町漁協 二木春美 組合長
「今回この稚貝がなければ、本当に厳しい年になるなと…。いまだかつて、こういう経験はない」
また、二木組合長によりますと、陸奥湾の西側では、稚貝の成長が順調に進んでいるという情報もあり、陸奥湾内での海流の影響も考えられるとしています。
横浜町漁協 二木春美 組合長
「蟹田から海水が入り、陸奥湾をぐるっと回って、その潮が出て行くには1か月くらいかかる。その中で、あまりにも高水温でそれが第一の原因ではないか」
湾内の漁協関係者で組織される「むつ湾漁業振興会」は、2025年5月に漁協の間での稚貝を融通するよう促す方針を示しています。
横浜町漁協は、10月の本格的な調査の結果を踏まえて稚貝の融通など、今後の対応を検討したいとしています。