ウクライナへの侵攻を続けるロシアの脅威に備えるため、ドイツでは14年ぶりに徴兵制が復活する可能性が高まっています。政府は「ヨーロッパ最強軍」の目標を掲げていますが、若い世代には動揺が広がっています。
ドイツのベルリン郊外で開かれた博物館が主催する航空フェスティバル。家族連れで賑わうなか、こんな活動が…
記者
「こちらのブースでは、ドイツ連邦軍が志願兵を募集するためのリクルート活動を行っています」
高校生
「兵士としての勤務はどのようなものですか、2年間ですか?」
リクルート担当
「17歳以上であれば、(期間が短い)志願兵にもなれるよ」
ドイツでは今、様々な場所でこうした活動が展開されています。
リクルート担当
「ドイツの鉄道は制服を着用すれば無料です。独自の医療制度もあります」
志願兵は7か月以上の勤務が義務付けられますが、住居や医療サービスが無料で提供され、軍は積極的にアピールしています。志願兵を増やすために手取り額の増額なども検討されています。
入隊希望者
「待遇は今の仕事より軍の方が絶対にいいです。今は落下傘部隊を希望しています」
ドイツ政府は、現役兵を今の18万人から10年で26万人に増強する方針を掲げていて、志願兵だけで足りない場合は徴兵制の復活を可能にする法案を、今年中にも議会で可決させたい考えです。
ドイツ メルツ首相
「ロシアは今後、長きにわたり、欧州における自由、平和、安定に対する最大の脅威であり続けるでしょう。私たちは再び、兵役義務のある軍隊に戻ることになります」
導入されれば14年ぶりとなる「徴兵制」。具体的な期間や対象年齢などは明らかになっていませんが、世論調査によると、全世代では73%が賛成している一方で、18歳から34歳の若い世代では賛成は51%で反対と拮抗しています。
徴兵制に反対
「まったく関心がない。軍にいく気もドイツのために戦うつもりもない、そのための理由はいくらでもある」
「若い世代の責任ではないのに、なぜ若い世代が兵役につかないといけないんだ」
徴兵制の導入をめぐっては、「反対する親の会」が立ち上がるなどドイツ社会は揺れています。
「徴兵制が導入されます。皆さんには拒否する権利があります。死にに行く必要はありません」
18歳の息子を持つマリオさんは、「軍に入ることの本質」が若い世代に伝わっていないと訴えています。
『反対する親の会』 マリオ・べリオスミランダさん
「兵役は死と向き合うことだが、連邦軍の広告では単なる冒険のように描かれている。しかし、現実はそうではない」
ロシアの脅威が高まるなか、ドイツは大きな岐路に立たされています。
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