中野市で4人が殺害された立てこもり事件の裁判員裁判は、11日間にわたる審理を終えました。きょう(26日)はこれまで黙秘を続けてきた青木政憲被告が口を開き、「私は異次元の存在だ。人を殺して死刑になるために来た」などと述べました。
初公判以降、黙秘を続けてきた青木被告。

最後に設けられた意見陳述の場で、裁判長から「何か言いたいことはないか」と問われると、小さな声で次のように話しました。

青木被告:「私は異次元の存在だから迫害を受けて、人を殺して死刑になるために来た。もう二度とプレイしない。被害を受けた人には埋め合わせがあるだろう。中の人たちを傷つけて申し訳ない。ここは私にとって仮想空間なので、プレイという表現になった」
その後しばらく黙り込み、裁判長から「もういいですか」と問われると、うなずいて意見を終えました。
中野市の農業・青木政憲被告は、おととし5月、自宅近くで女性2人と駆け付けた男性警察官2人を猟銃やナイフで殺害した罪などに問われています。

裁判員裁判、最終日のきょう(26日)は弁護側がまとめの意見を述べました。
争点の一つは「責任能力」。
これまでの公判で、検察側は「ぼっち」などと言われたという被告の「妄想」は動機となったものの、殺害という犯行自体には影響していないと主張しました。

弁護人:「殺害以外を選択できる能力が欠けていた、あるいは乏しかったとすれば、動機とその後の犯行を切り分けることは困難だ」
弁護側は、青木被告は統合失調症が再び悪化した状態で「妄想」の強い影響により、善悪の判断に従った行動をとることは著しく困難だったなどと「心神耗弱」を主張しました。
さらにもうひとつの争点の「量刑」については。

弁護人:「周囲から精神障害を気づいてもらうことができなかった。適切な治療を受けていれば事件は起こらなかった」

弁護側はこうした事情を考慮し「死刑は回避されるべきだ」と主張、無期懲役を求めました。
裁判はきょう(26日)で結審し、判決は10月14日に言い渡されます。