サンマやイカなど、海の幸が美味しい季節になってきましたが、魚に寄生するアニサキスによる食中毒にも注意が必要です。

食中毒発生件数1位「アニサキス」

アニサキスは寄生虫(線虫)の一種で、幼虫は長さが2~3cm、幅が0.5mm~1mm。
白色の少し太い糸のように見えます。
寄生するのは、サンマ、カツオ、サケ、サバ、マグロ、アジ、イワシ、ヒラメ、イカなどの魚介類です。
アニサキスによる食中毒の症状は、生の魚介類を食べた後、1時間から数日で出現します。
≪急性胃アニサキス症≫
12時間以内に激しいみぞおちの痛み、吐き気、嘔吐等を生じる
≪急性腸アニサキス症≫
10数時間以降に激しい下腹部痛を生じる

2024年の食中毒の発生件数を見ると、ノロウイルスやカンピロバクターを抑えて、アニサキスが最も多くなっています。
月別の患者数で最も多いのが3月のカツオの季節。次に多いのは10月で、サンマやサケなどが旬を迎える時期と重なります。

アニサキスに異変?博多名物「ゴマサバ」提供中止も

「ゴマサバ」は、新鮮なサバのお刺身をゴマとネギをきかせた甘めの醤油だれで和えた福岡の郷土料理ですが、提供をやめるお店が出てきています。
背景にあるのがアニサキスによる食中毒の増加です。
福岡県のアニサキス食中毒の件数は、2015年に4件でしたが2023年には51件と、8年で約13倍に。なぜこんなに増えているのでしょうか?

実はアニサキスには型があります。
元々日本海には「P型アニサキス」が多くいました。このP型は魚の内臓にとどまるタイプなので、福岡などでは刺身で食べることが多くなりました。
一方、太平洋には「S型アニサキス」が多くいます。S型は魚の内臓だけでなく身にも入り込みます。
東京海洋大学の嶋倉准教授は、最近の海水温の上昇や海流の変化により「S型アニサキス」が日本海に広がりつつあるといいます。

恵俊彰:
魚が移動しているんですか?

東京海洋大学 嶋倉邦嘉准教授:
魚も移動しているかもしれませんが、S型アニサキスを宿しているオキアミ類が日本海側に行ってしまうと、日本海に生息している魚もそれを食べて寄生してしまうことになります。