地域の課題を解決したい。そんな考えからスタートした「まぜそば」を高校生が編み出しました。「もったいない」の現場を目の当たりにし、プロの力を借りながら生徒たちがたどり着いた学びの結晶です。

静岡市駿河区の城南静岡高校で9月23日に開かれた文化祭。ここで2年生が提供したのが、地域の課題解決を目指した「まぜそば」です。

<食べた人>
Q. どう?味は?
「おいしいです」

そぼろとネギのコントラストが映える「まぜそば」には地域の課題を解決しようという狙いが込められています。

城南静岡高校の探究基礎という授業で2025年度、生徒たちが注目してきたのが、食べられるのに廃棄されてしまう「おいしい食材」の存在です。

<城南静岡高校 秋山瑠美さん>
「こちらの葉ネギは規格外として本来なら捨てられるはずの野菜。シカ肉は静岡県の奥で捕れた鳥獣として問題となっているシカ肉」

まぜそばを構成するのは、本来捨てられてしまう野菜や、害獣とされるシカの肉です。

今回、ネギを提供した「しずおか中村農園」では、1日当たり10キロ程度の「規格外野菜」が出ます。

<しずおか中村農園 中村さん>
「ちょっと太すぎちゃったり、丈が長かったり太かったり、色が薄かったりでこれは全部廃棄になります」

しかし、実際に規格外のネギを食べてみると、味や食感に違いはありません。捨てられてしまうネギの価値を多くの人に伝えたい。これが、まぜそば作りのスタートでした。

シカ肉を提供したのは、ジビエを手掛けるワイルドハント。今や山の厄介者とされるシカの価値を広める活動に取り組んでいます。

<ワイルドハント 石本光希さん>
「自分たちのやっている仕事に興味を持ってくれたことは非常にいい。地域問題の解決へのサイクルにつながるのでは」

レシピは、静岡市葵区の「居酒屋こんちゃん」が監修。文化祭という現場で、いかに早く提供できるかを考えます。

<居酒屋こんちゃん 近藤晃弘さん>
「普通の冷凍麺を使うのが一番早いかと思います。乾麺はゆでるのが長くなっちゃうのでお客さんを待たせちゃう」

生徒たちは実際に客目線で商品を提供するプロたちからノウハウなどを学び、約5か月をかけて完成させました。高校生が形にしたまぜそばは、上々の評判でした。

<食べた人>
「ネギも味が濃くておいしいかも。麺が好きだけど、肉が変わっている味がしますね」

<城南静岡高校 村松隼さん>
「今後、今回もやっていた規格外野菜を使った料理をまた来年も出して継続していきたい」

プロの力を借りながら生徒たちがたどり着いたSDGsな「まぜそば」。城南静岡高校はこうした活動を継続し、地域の課題を解決するきっかけづくりに挑みたいとしています。