毎年1万件を超えるというリフォームトラブル。JNNはリフォーム工事を依頼したのに、壊すだけ壊して音信不通になった業者を追跡しました。そこで見えてきたトラブルに遭わないためのポイントとは?

鉄筋がむき出しになったままのぼろぼろの玄関前。実はこれ、リフォーム工事の結果だというのです。

リフォームトラブルを訴える女性
「信じてお願いしたのに、裏切られた感じ」

千葉市に住む40代の女性。1年前、茂原市の業者にトイレの詰まりを修理してもらいましたが、今年6月に再びトイレが詰まったため、同じ業者に修理を依頼しました。

リフォームトラブルを訴える女性
「(1年前は)仕事ぶりも特におかしいとかも思わなかった」

業者は、トイレの詰まりの原因は「玄関前の配管」にあると指摘。地中の配管を直すと同時に、玄関前にあった段差をなくすリフォーム工事を行うことになりました。

しかし…

リフォームトラブルを訴える女性
「例えば『金曜日に行きます』と返事が来るんですけど、言った日に来ない。電話をしても出てくれない」

玄関前をいったん壊したあと、工事は進まず、業者は音信不通に。その後、別の業者に修理を依頼すると、トイレの詰まりの原因は「玄関前の配管ではない」ことがわかりました。

別のリフォーム業者
「(トイレの水が)ここまで流れてこない。ここまでの流れが悪いから、家の中(が原因)と判断するのが普通」

問題があったのは家の内部で、業者は必要のないところを壊す工事をしていたのです。

リフォームトラブルを訴える女性
「できない工事なら、最初から言ってほしかった。中途半端にやるぐらいなら、最初からやらないでほしい」

これらの工事に女性は前払いで106万円を支払ってしまっていました。

なぜ、工事を途中で投げ出したのか。記者が話を聞くため、領収書に記載されていた業者の住所を訪ねました。

出てきたのは、1人の女性。

業者の住所とされる場所に住む人
「(Q.[リフォーム業者の代表]ご存知?)全くわからないです。前に住んでいた方だと思う。2回ぐらい書類が届いていた。(Q.領収書にここの住所が記載されていた)すごく迷惑な話ですね」

工事が始まったときには、すでに業者はここにいなかったといいます。

全く連絡がつかない業者。今回、被害に遭った女性は詐欺だとして警察に相談しましたが…

リフォームトラブルを訴える女性
「悪徳ではあるけど、立件できないと言われた」

なぜ、詐欺に問えないのでしょうか?詐欺被害に詳しい弁護士は…

若井綜合法律事務所 内原祥里 弁護士
「そもそも、どういった(工事の)契約を締結しようとしていたのか、(今回の場合)それが明らかではない。契約書等もございません」

今回の工事は“口約束”で行われていました。どんな契約をしていたかが、契約書などで明らかでないと、だます意図の証明が難しいといいます。

国民生活センターによりますと、リフォーム工事をめぐるトラブルの相談件数は、毎年1万件を超えています。トラブルを避けるためには、工事費が“前払い”になっていないかどうかもポイントだといいます。

若井綜合法律事務所 内原祥里 弁護士
「完成、これがあって代金の支払いの義務が生じる。(特約を除き)安易に前払いの約束をしないことも重要」

着手金などを支払うことはあるものの、工事費全額の前払いは避けるべきだということです。

今回、被害に遭った女性宅の玄関前はインターホンの配線が切られ、今も使えないままです。

リフォームトラブルを訴える女性
「来客があった場合はドアを叩いてもらって、音に気付けば出られるんですけど」

リフォームトラブルに巻き込まれないため、工事を始める前に注意が必要です。