川の水難事故が相次ぐなか、先月、栃木県で3歳の女の子を救助した警察官は“ある物”の大切さを訴えます。我が子が溺れそうになった時、大切なことは何なのか。専門家にも話を聞きました。

今年も川の水難事故が相次いでいます。7月には新潟県で小学2年の男の子が溺れて死亡。おとといも熊本県で中学2年の男子生徒が流され亡くなりました。

一方で先月、栃木県の川で、“救われた命”があります。

救助にあたったのは、栃木県警の高橋孝次警部補(42)です。

栃木県警・那須塩原署 高橋孝次 警部補
「元々私が機動隊の水難部隊の方で救助の訓練を行っていましたので。救助した方たちが無事だったことがなにより安心した」

きょう現場に行ってみると、透き通った穏やかな流れがありました。

記者
「先月27日、栃木県那須塩原市のこちらの川に家族5人が水遊びに来ていました。遊んでいたのは、このような浅瀬だったといいます」

警察によると、状況はこうです。

川で遊んでいた3歳の女の子。家族が目を離したすきに流されてしまいます。気づいた母親が川に飛び込み、泳いで女の子のもとへ。女の子を抱きかかえながら岩場にしがみつき、救助を待ちました。

父親の通報を受け駆けつけた高橋さんは、ライフジャケットを着て泳いで岩場に向かい、別のライフジャケットを母親に渡すと、女の子を岩の上に持ち上げました。

女の子は懸命の救命処置により、一命を取りとめたということです。

栃木県警・那須塩原署 高橋孝次 警部補
「水場で遊ぶのはいいのですが、やはり保護者の方が目を離さないということ。保護者も子どもも、しっかりとライフジャケットを着用して」

水難事故に詳しい専門家は…

水難学会 斎藤秀俊 理事
「(溺れている人を見つけたら)早く119番通報するというのが大原則。溺れてる人を見て、そこで“飛び込まない勇気”というのは必要」

通報の重要性を訴える一方で、専門家は、わが子が溺れてしまったら「飛び込む親心は止められない」と理解も示します。

水難学会 斎藤秀俊 理事
「(飛び込んでしまったら)親御さんも一緒に救助を待つというふうに考え方を変える。浮いていれば呼吸確保できて、救助されるまで生きていられるわけですよね」

専門家が警鐘を鳴らしているのが…

水難学会 斎藤秀俊 理事
「浅瀬があったら次は淵がある、深みがある」

浅瀬を通る水が小さなくぼみに落ち込み、水の力で淵ができていくことがあり、「浅瀬でも急な深みにはまることがある」と指摘。さらに…

水難学会 斎藤秀俊 理事
「お母さんの膝下というと40センチくらいあって、3歳ぐらいのお子さんがちょっとペタンとお尻をついた瞬間に、そのまま流されてしまうんですよね」

後を絶たない川の水難事故。小さい子どもは、浅瀬でも注意が必要です。