おととし、台風13号に伴い発生した線状降水帯による記録的豪雨から2年が経ちました。被害が集中したいわき市の内郷地区の現状と課題を取材しました。

おととし9月の記録的豪雨。複数の川が氾濫したいわき市では、およそ1700棟が浸水被害を受け、1人が死亡しました。

水津邦治アナウンサー「あれから2年が経ち、当時氾濫した内郷地区の宮川に来ています。水量は多くないんですが、草が生い茂っています」

被害が拡大した宮川周辺を含む新しい「河川洪水ハザードマップ」では、新たな浸水区域を表示して住民に注意を呼びかけています。

いわき市では、さらに下水道などの排水施設の能力を超える大雨が降った場合に想定される浸水区域や水深などを示した「内水ハザードマップ」も新しく公表しました。

いわき市下水道事業課・山崎僚さん「今回公表した内水ハザードマップは、想定し得る最大規模の1時間当たり120ミリの降雨に対応したものとなっていて、従来の内水ハザードマップに比べてより厳しい条件での想定をしている」

また、当時は、仮置き場以外に積まれた多くの災害ごみが復旧を妨げました。課題を解決するため、いわき市では、事前に住民が話し合って「臨時集積所」を設ける取り組みを始めています。

いわき市資源循環推進課・本田洋平さん「市内で全部で84か所の届け出が出されています。災害ごみについては、住民の皆様は1日でも早く片付けたいという思いもあるので迅速に対応できるものではないかなと考えている」

また、当時河川が氾濫した原因の一つとみられるのが、草木などが引っかかった多くの「橋」です。県では、宮川で対象となる管理者不明の橋10か所のうち、これまでに4か所で簡易代執行による撤去工事を終えました。しかし、現状は草が生え放題の状態です。

宮一区・国井信一区長「本来ならば今の時期もきれいに草を刈ってあるが、今年はこの暑さでやろうよと言っても高齢の人が多いので、涼しくなってやろうよという計画をしている」

県では、洪水対策のため宮川の川幅を広げる改修計画を作っています。

県いわき建設事務所・吾妻敬一さん「川に流れる水を安全に流下させるための河川の拡幅や、屈曲した部分をショートカットするなどの河川の概略設計を行ってきました」

計画の対象地域の住宅は移転が迫られる可能性もあることから、住民の中には計画に不安を抱いている人もいるといます。

宮一区・国井信一区長「(川を)深くしたり広げるのは我々も理解はできるが、ご覧の通り、みんな移転の対象になってしまう。今それでみなさん悩んでいるんです、正直言って」

改修計画の完了までには、今後30年を要するとも言われていて、住民の理解を得られるかがカギとなります。

宮一区・国井信一区長「できれば移転させなくても水害のない地域にしていただければなと我々は思っています」

県いわき建設事務所・吾妻敬一さん「我々が現在取り組んでいる内容については、住民の皆様に丁寧に説明して、ご理解とご協力をいただきながら進めていきたいと考えている」

県では今後、河川の改修計画について住民を対象とした説明会を開く予定だということです。