長野県須坂市のふるさと納税の返礼品を巡る産地偽装問題で、第三者委員会は、返礼品を扱っていた業者の社長と市の担当職員で会食が定期的に行われ、その費用を業者が負担することもあるなど、「通常以上の関係性にあった」と指摘し、市が厳正な対応をできていないことの背景にあったと考えられるとの報告書をまとめました。

この問題は、市の返礼品を扱っていた業者が、2019年以降、山形県産や中野市産などのシャインマスカットを須坂市産と偽っていたものです。

報告書によりますと、市は、去年12月に業者から県外産品が混在しているとの報告を受けていましたが、市がふるさと納税の募集を停止したのは今年3月のことでした。

それについて、第三者委員会は、市長などの認識が欠けており、農水省が調査を始めていることから、市の対応は不要と考えてしまったとしました。その上で、業者をかばうかのような報告も判断の基礎となっていて、市の「待ち」の判断を後押ししたと考えられるとしました。

委員会は、市の「待ち」の判断は極めて不適切であり、指定取り消しを「決定的」にするものだったと指摘しました。

また、市側の一連の対応の背景については、市職員と業者の関係性について指摘しました。市職員と業者の会食が定期的に行われ、業者がその費用を持つことがあったり、業者から係に差し入れがあったりしたことなど「通常以上の関係性にあった」としています。こうしたことと、市の対応を直接結び付けることはできないとした一方で、市が業者に対し、厳正な対応ができていないことの背景には、こうしたことがあったと考えられるとしています。市としては職員倫理の徹底に努めるなどをすべきであったとしています。

また、市と業者の関係については、市に対する寄付や行事の協賛、大型店での須坂市ブースの運営予定など、市と業者の近さが市の判断に影響したと考えられると指摘しています。

総務省は、基準に反した返礼品で市が受け入れた寄付金額をおととし10月から今年3月までに、およそ30億円と認定し制度の対象から2年間除外することを決めています。

これを受けて市は今年度予定していた事業の一部を取りやめ、予算を減額するなど市政の混乱が続いています。