JICA=国際協力機構が国内の自治体をアフリカの「ホームタウン」に認定したことをめぐり、「移民が増えるのでは」といった苦情が自治体に殺到しています。一体、何が起きているのでしょうか。

愛媛県今治市。市役所では職員が朝からてんてこ舞いでした。

市役所職員
「多数のモザンビーク人が今治に押し寄せ、定住するというものではございませんので」

千葉県木更津市でも。

市役所職員
「移住とか、移民の受け入れを行うものではございません。ご心配はいただいているところではございますけども」

「アフリカから移民が押し寄せてくるのではないか」。こうした市民からの問い合わせが1000件以上殺到していて、業務にも支障が出ているといいます。

なぜ、こんな事態になっているのか。きっかけは、先週、横浜で開催されたTICAD=アフリカ開発会議にあわせて行われたある発表でした。

JICAは日本国内の4つの自治体を親交のあるアフリカ4か国の「ホームタウン」に認定。イベントの開催などで国際交流を後押しするためのものとしていますが、アフリカ側は。

ナイジェリア政府の声明
「日本政府は木更津への移住を希望する若くて優秀なナイジェリア人に特別なビザを用意する」

現地メディアやイギリスのBBC(現地語版ウェブサイト)なども同じように報じていて、JICAや日本政府は海外の報道を真っ向から否定しています。しかし、SNSでは…

「大量のアフリカ移民の流入が始まる」
「犯罪が増加し、治安が悪くなる。街も安心して歩けない状態に」

こうした憶測が拡散し、「ホームタウン」に認定された自治体に苦情が殺到しているのです。

その一つである新潟県三条市の市長は「あくまで人材交流の一環で、移民受け入れの促進につながるものではない」と強調します。

新潟・三条市 滝沢亮 市長
「地域おこし協力隊の学生さんが来年1年間、ガーナで研修するというものにすぎませんし、多文化共生していくことがこれからの地域の発展にも資するんじゃないかなと」

また、愛媛県今治市の市長は多文化共生は不可欠だとして、根拠のないデマに惑わされないよう呼びかけています。

海外メディアやSNSで誤った情報が広まった結果、「アフリカ人は帰れ」などというヘイト発言にもつながっている今回の出来事。一人一人の冷静な対応が求められています。