「我々はおらんようになるけど 何かあったときに思い出して」

今年の新作、「枝と杖(支えあうことのモニュメント)」です。握りあった2つの手と棒を支える足。療養所の資料館にある義肢がモチーフだといいます。手掛けたのはウクライナの作家。入所者たちが支え合って生きてきたことに深い感銘を受けたといいます。

(ウクライナの作家 ニキータ・カダンさん)
「ウクライナには、いま手足を失い義肢をつけた人々が大勢います。この国では何年も戦争が続いています。転んだ人を支え、抱きしめるという実にシンプルな行為に意味があるのです」

最愛の妻と出会い支え合って、この島で生きてきた、Nさんの人生。

(台湾から訪れた女性の涙)

(入所者自治会 野村宏副会長)
「台湾から来たんか…」
(女性)
「大変でしたね…」
(入所者自治会 野村宏副会長)
「本当に、いま見てもらえたらありがたいよね。だからいまも子どもたちが来たら言うんですよ。我々おじちゃんはおらんようになるけど、こんな病気になったばっかりにこの島に閉じ込められて。一生ここで過ごしたいう人がおった。これから君たちが大人になって、何かあったときに思い出して、役に立ってくれたらうれしいな、いうて言うんですけどね。施設見学に来ても話をする人がいなくなってしまっている。会長と俺とふたりになってしもうた」

15年前、100人以上いた入所者はいま29人。平均年齢は87歳を超えました。終わりゆく療養所で、瀬戸芸の役割は重みを増しています。