夏の厄介者…「蚊」
その小さな体には未来へのヒントが。
「“痛くない”注射針」や、災害時にも役立つ「気流感知ドローン」など、蚊の生態から学ぶ最新テクノロジーをご紹介します。
蚊に刺されても痛くないのはなぜ?
関西大学システム理工学部のロボット・マイクロシステム研究室では、蚊の生態を模倣して痛みの少ない注射針を作っています。

そもそも、蚊に刺されたときに痛みを感じないのはなぜなのでしょうか?
人間の皮膚の表面には、約0.1ミリ間隔で、痛みを感じる「痛点」があります。
蚊の針の太さはわずか0.05ミリと細く、痛点をさけることができるため、痛みを感じにくいのです。
しかし、細い針を実用化するには問題が・・・

関西大学システム理工学部 青柳誠司教授
「細くすれば痛くなくなるんですけれども、折れ曲がってしまって刺さらない。でも、蚊は柔軟で細い針を、刺し方の工夫をして入れているんですね。」


【蚊の刺し方の工夫〈1〉ギザギザの針】
蚊の針を分解してみると複数のパーツからできていて、そのうち2本の先端がギザギザの形になっています。
針を刺すときの様子を見てみると、2本のギザギザの針を交互に上下させながら、真ん中にある血を吸うための針を刺し進めています。
ギザギザになっていることで皮膚との接触面積を減らし摩擦を少なくするだけでなく、切り裂く力を増やすことができます。
進めるときはナイフのように切り裂き、引っ張るときは足場にして、真ん中の針を進めやすくしているのです。


研究室では、先端がギザギザで、パーツが左右に分かれている針を作製。
そのまま皮膚に刺すと大きくたわんでしまいますが、交互に振動させるとたわみが少なくなることが分かっています。
このたわみの少なさが痛みの軽減につながります。