園井は1913年に岩手県の旧松尾村、現在の八幡平市に生まれます。生まれた日は奇しくも広島に原爆が投下された日と同じ8月6日でした。現在の岩手町で幼少期を過ごすと、その後北海道の高等女学校に進学するも1929年、15歳の時に周囲の反対を押し切って中退し宝塚の門をたたきます。

(朗読劇の台詞)
「岩手県は第一のふるさと北海道は第二のふるさとそして宝塚は住んでいながら心のふるさとです」

語り継ぐ動きはふるさと岩手でも。戦後80年に合わせた朗読劇「園井恵子と桜隊」が、盛岡市で今月23日と24日に上演される予定で稽古が進められています。

宝塚退団後、移動演劇隊「桜隊」の一員として訪れていた公演先の広島で被爆した園井。実話を基に演出を手がける坂田裕一さんは、上演の意義を次のように語ります。

(朗読劇の演出 坂田 裕一さん)
「日本の戦前に戻ったような雰囲気もあるねという風潮もあるじゃないですか」「演劇人として戦争の体験をあるいは戦争で思うことをつないでいくという役割がある」

朗読劇に出演するのは演劇経験のある社会人など公募で選ばれた4人を含む10人です。盛岡市の咲山春菜さん(27)は、戦争の記憶の風化を防ぎたいと意気込みます。

(朗読劇に出演 咲山 春菜さん)
「次の世代に伝えなくてはいけないなと思っているのでこうした劇を通して伝えていけたらいいかなって」