8月8日正午すぎ、京都府京丹後市の海水浴場で、溺れた男子中学生を助けようとした50代男性が死亡するという、痛ましい水難事故が発生しました。男子中学生も意識不明の重体です。
専門家は「訓練を受けていない一般の人が、水難救助を行うのは絶対に無理だ」と強く警鐘を鳴らします。
男子中学生は流された履き物を取りに行こうとして溺れた

8日正午すぎ、京丹後市網野町にある浅茂川海水浴場で、中学生から「14歳の男性が20mほど流されている」と119番通報がありました。
京都府警京丹後署によりますと、福知山市のサッカーチームに所属する男子中学生(14)が、海に流された履き物を取りに行こうとして溺れ、他のメンバーがコーチの男性(53)に助けを求めました。
コーチは助けに向かいましたが、自らも溺れてしまったということです。
2人は岸から約40mの沖合でサーファー数人に救助されましたが、コーチの男性は搬送先の病院で死亡が確認されました。男子中学生は意識不明の重体です。
サッカーチームはこの日、中学生13人とコーチの計14人で海水浴場を訪れ、トレーニングなどをしていたということです。
「どんなに水泳ができる人でも、救助法を習わずにいきなり飛び込めば、みんな沈む」

水難事故のメカニズムに詳しい、長岡技術科学大学教授で一般社団法人水難学会理事の斎藤秀俊さんは、“訓練を受けていない一般の人が、水難救助を行うのは不可能” だと強調します。
長岡技術科学大学・斎藤秀俊教授(一般社団法人 水難学会理事)
「一般の人が水難救助を行うのは、絶対に無理です。それでも助けに行きたいという方がおられるならば、ぜひとも日本赤十字社の水上安全法救助員養成講習会がありますので、それを受講してしっかりとした訓練を受けて、救助技術をしっかり身に付けてください。
どんなに水泳ができる人でも、救助法を習わずにいきなり飛び込めば、みんな沈みます。特殊な訓練を受けていない人が、水中に飛び込んで救助しようとすることは、一緒に死ぬということになりますので、絶対に無理だと頭の中に叩き込んでいただければと思います」